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今日の薬剤師:アレルギー体質で新型コロナウイルスワクチンが不安な患者さん


こんにちは。 マサです。

調剤薬局にて薬剤師として働いています。

今回は知人から受けた質問についてご紹介します。

20代女性
食べ物にアレルギーがあり、抗生物質で発疹歴があるので、新型コロナウイルスワクチンの副反応が心配。
それでもワクチンを接種した方が良いの?

結論:ワクチン接種をお勧めします

どうしてもインターネット上やTVでは不安を煽るような情報が目につきます。
患者さんが不安になってしまうのも無理はありません。
今回は、私が知人にお伝えしたことをそのままご紹介します。

 

ワクチン接種をお勧めする理由

まず、アナフィラキシー反応と痛みや頭痛、だるさ、発熱などの副反応を分けて考えてください。
アナフィラキシーを起こす原因は、ワクチンの添加物と考えられています。
そして、アナフィラキシーを生じる可能性は10件未満/100万件(0.001%未満)と言われています。
とても稀です。

さらに、イスラエルでの研究結果があります。
アレルギーの高リスク者400人にコロナワクチンを投与し、98%の人はアレルギー反応がありませんでした。
アナフィラキシーを生じた人は1%弱だったようです。
(ただし、これは高リスク者はきちんとした体制が整った環境下でワクチン接種が行われています)

アナフィラキシーを起こす可能性のある添加物

ファイザー・モデルナ:ポリエチレングリコール(=マクロゴール)

アストラゼネカ:ポリソルベート

これらの成分は多くの医薬品(注射薬、錠剤、外用薬など)や化粧品で広く使用されています。
そのため、どうしても化粧品を使用する女性にアナフィラキシー症状が出やすいです。

アナフィラキシーに注意が必要な患者さん

・高齢者(薬剤使用歴や化粧品使用歴が長い)
・薬剤過敏症の経験がある(特に不特定多数のお薬にアレルギーのある患者さん)
・女性(化粧品の使用がある)
・コントロール不良や発作回数が多い喘息の持病がある

 

日本アレルギー学会の見解(2021年3月)

「少なくとも現時点では花粉、食物などの特定の抗原に対するアレルギーや、アナフィラキシー症状を伴わない喘息、アトピー性皮膚炎などのアトピー疾患であることが、新型コロナウイルスワクチンに対する過敏症を予測するものではないことを意味する」

要するに、花粉症・食べ物・アトピー喘息などがあるからといっても、ワクチンに対して過度に心配する必要はない、ということです。
日本アレルギー学会のホームページ

副反応について

アナフィラキシー症状とその他の症状を分けて考えてください。

筋肉に注射するため、患部に痛みを生じるのは当然です。
痛みや頭痛、だるさ、発熱などの副反応は7〜8割の方に出ると考えてください。
裏返せば2割〜3割の方は副反応を生じないと考えてください。

「副反応がないと抗体が作られていない」という記事がインターネット上にあるようですが、それは間違いです。
症状がなくても抗体は作られています。
ただ、ちゃんとワクチン接種がされても、どうしても抗体が作られにくい体質の方がいます。
それは仕方がありません。

副反応が出る原因として考えられていること

・ワクチンの1回量が海外と同じ量であるため日本人には多いかもしれない
・女性の方が副反応が強く出る原因は、男性よりも女性の方が免疫反応が強いため

薬剤師としてお伝えすること


マサ
ワクチン接種をお勧めします。
 
報道やインターネット上の情報を見ると何が本当で何が嘘なのかかわからなくなると思います。
そして、抗生物質によって発疹を生じた経験があるので心配する気持ちも十分わかります。

 
現在言えることは、ワクチン接種により新型コロナウイルスに感染しても重症化するリスクを減らすことができます。
そして、新型コロナウイルスにおいて、治療薬を投与するよりもワクチン接種を受ける方が効果的と考えられています。

 
アレルギー体質であっても、アナフィラキシーを生じやすいわけではありません。
少しでもアナフィラキシーの発症を防ぐために、接種数日前から体調を整えてください。
接種数日前から睡眠時間を確保し、接種当日と前日は飲酒や激しい運動を控えましょう。

 
接種場所を、アレルギー科のある病院やクリニックにすることや、きちんとした体制がとられている接種会場を選ぶこともお勧めします。 
 
不幸にもアナフィラキシーを生じてしまうかもしれませんが、死亡するようなことはほぼありません。
接種会場での待機時間を15分ではなく、30分程度様子を見ることをお勧めします。

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