今日の薬剤師

今日の薬剤師:狭心症入院後にアマリールからジャヌビアに変更となった患者さん


こんにちは。 マサです。

調剤薬局にて薬剤師として働いています。

先日患者さんからある質問を受けました。

先日、狭心症のために病院に入院してステントを入れてきました。

退院したので、本日かかりつけ医にそのことを伝えたらお薬が変更になりました。

詳しい理由はわからないが、心臓に優しい薬に変更するとのことでした。

今までのお薬で血糖値が安定していたから、変更したくない気持ちがあるけど、先生が言うように変更したほうが良いの?

おじいちゃん

 

処方変更内容
アマリール錠0.5mg 1錠 → ジャヌビア錠50mg 1錠

 

結論:変更したほうが良い

マサ
治療がうまくいっていたので変更することへに不安がありますね。

ただ、今まで飲まれていたお薬は変更したお薬と比較して心臓疾患のリスクがあると言われています。

今回狭心症のために入院したことを考慮すると、将来の再発や他の心臓疾患を生じないためにもお薬を変更した方が良いと思います。

今まで通り血糖値がコントロールできるのであれば、心臓に負担のかかる可能性のあるお薬と、心臓に負担のかかりにくいお薬ならば、どちらがよろしいと思いますか?

「SU薬が心臓疾患のリスクを高める」と言われている根拠となる論文

Morgan CLI, et al.
目的
メトホルミン+SU薬またはメトホルミン+DPP−4阻害薬の併用療法による主要心血管イベント(MACE)のリスクと全死亡率を比較デザイン
コホート

対象者
・2007年〜2012年の間にメトホルミン+SU薬またはメトホルミン+DPP−4阻害薬の併用療法を開始した2型糖尿病患者
・メトホルミン+SU薬:33,983名、メトホルミン+DPP−4阻害薬:7,864名

方法
イギリスのClinical Practice Research Datalinkに登録されたデータを活用

結果
・MACEの粗イベント率はSU薬:11.3 / 1,000人・年、DPP−4阻害薬:5.3 / 1,000人・年
・全死亡率はSU薬:16.9 / 1,000人・年、DPP−4阻害薬:7.3 / 1,000人・年

結論
全死亡率、MACEのどちらの発生率も、メトホルミン+DPP−4阻害薬はメトホルミン+SU薬よりも有意に少なかった

Eriksson JW, et al.
目的
重症低血糖、心血管イベント、全死亡率をメトホルミン+SUとメトホルミン+DPP-4阻害薬を比較検討デザイン
観察研究

対象者
2006年から2013年の間にメトホルミン+SU(40,736名、65.3歳、男性59%)若しくは、メトホルミン+DPP-4阻害薬(12,024名、61.1歳、男性62.5%)を開始した2型糖尿病患者

方法
スウェーデンの国内登録データを活用

結果
・メトホルミン+SUでは重症低血糖2.0 / 1000人・年、心血管イベント19.6 / 1000人・年、全死亡率24.6 / 1000人・年
・メトホルミン+DPP-4阻害薬では重症低血糖0.8 / 1000人・年、心血管イベント7.6 / 1000人・年、全死亡率14.9 / 1000人・年

結論
メトホルミン+SUはメトホルミン+DPP-4阻害薬よりも重症低血糖、心血管疾患、全死亡のリスクが高い

Bain S, et al.
目的
心血管イベントと死亡率をSU薬と他の糖尿病薬と比較検討デザイン
システマティックレビューとメタアナリシス

対象者
2型糖尿病患者

方法
82件のランダム化比較試験と26件の観察研究を使用

結果
・SU薬では他の血糖降下薬と比較して全死亡と心血管死のリスクが有意に高かった
(全死亡のHR:1.26 95%Cl 1.10〜1.44、心血管死のHR:1.46 95%Cl 1.21〜1.77)

結論
・現在のメタアナリシスでは、SU薬はその他の血糖降下薬と比較して心血管疾患のリスクを高める可能性がある

ADVANCE試験
目的
2型糖尿病患者における強化血糖コントロールと血管アウトカムを検討
主要エンドポイント:大血管イベント(心血管疾患による死亡、致死的または非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中)と微小血管イベント(新規または悪化する腎症または網膜症)の複合

デザイン
無作為

追跡期間
5年(中央値)

対象者
・2型糖尿病患者11,140人、平均HbA1c:7.5%
・1つの大血管イベントまたは微小血管イベント歴がある、もしくは1つ以上の血管イベントのリスクファクターがある
・2型糖尿病と診断された年齢が30歳以上、試験開始時に55歳以上

方法
グリクラジド徐放錠を用いてHbA1c6.5%以下を目指す群と標準治療群に分類

結果
・試験終了時の強化療法群の平均HbA1c6.5%、標準治療群の平均HbA1c7.3%
・大血管イベントと微小血管イベントを合わせた複合エンドポイント発生率が減少HR:0.90(95%信頼区間[Cl]0.82-0.98)
(強化療法群と標準治療群の複合エンドポイント発生率はそれぞれ18.1%、20.0%)
・大血管イベントHR:0.94(0.84-1.06)、心血管疾患による死亡HR:0.88(0.74-1.04)
・腎症の発生率低下HR:0.79(0.66-0.93)、網膜症に影響なし
・重度低血糖【強化療法群:2.7%、標準治療群:1.5%、HR:1.86(1.42-2.40)】

結論
・グリクラジド(徐放性)および必要に応じて他の薬剤を追加投与する強化療法群は、大血管イベントと微小血管イベントの複合発生率を10%減少させた。その主な要因は腎症の発生率を21%低下させたことによるものであり、大血管イベントの発生率を減少させる効果は認められなかった。

まとめ

SU薬は他の血糖降下薬よりも心疾患イベントを生じやすい。

ただしグリメピリドでは有意差は認められておらず、グリクラジドでは心血管イベントを生じにくい。

補足
グリメピリドグリクラジドは心臓負担がないのではないか?
と考えていらっしゃる方もいると思います。

グリメピリドグリベンクラミドと同様にベンズアミド構造を有しています。
そのため心室のKir6.2 / SUR2Aに結合して虚血耐性を抑制してしまう可能性があります。

ただ私が調べた限りでは、グリベンクラミドのように統計的有意差をもって死亡率が高くなるという報告は確認できていません。

しかし、『Eriksson JW, et al.』で得られた結果では、有意差はないですがグリメピリド群にて致死的/非致死的心筋梗塞と全死亡率が増えています。

より安全を求めるならばグリメピリドであっても使用を控えることをお勧めしたいと思います。

グリクラジドベンズアミド構造を有していないため、グリメピリドグリベンクラミドのような心室への作用がないと考えられています。

心臓疾患を有する患者さんへのSU薬の使用は、グリクラジドの選択がより安全です。

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