お薬について

【更新】SGLT-2阻害薬とGLP-1受容体作動薬はどちらを先に選択する?


こんにちは。 マサです。

心血管系リスクのある患者さんへの薬物治療における
アメリカ糖尿病学会のガイドラインでは、『メトホルミン製剤の次にGLP-1受容体作動薬もしくはSGLT-2阻害薬のどちらかを使用』するように推奨しています。

欧州心臓病学会と糖尿病学会による心血管疾患の診療ガイドラインでは、第一選択が『GLP-1受容体作動薬もしくはSGLT-2阻害薬』になっています。

今まではGLP-1受容体作動薬が注射剤しかなかったため、その金額と手技からどうしても内服薬であるSGLT-2阻害薬を選択しやすかったです。
しかし、2021年に発売される経口セマグルチドによって、経口GLP-1受容体作動薬を選択しやすくなります。
では、GLP-1受容体作動薬とSGLT-2阻害薬のどちらを先に使用すべきでしょうか? それを記事にします。

結論

日本では「糖代謝異常者における循環器病の診断・予防・治療に関するコンセンサスステートメント(P.59)」にて『SGLT-2阻害薬』が推奨されています。

経口GLP-1製剤

・少しでもHbA1cを下げたい患者さん
・食欲過剰な患者さん
・リキシセナチドのELIXA試験、デュラグルチドのREWIND試験、セマグルチドのSUSTAIN-6、徐放型エキセナチドのEXSCEL試験において、心血管死を抑制する優越性は認められていません。
リラグルチドのLEAD

ER試験においては、心血管死を有意に抑制しています。
(全て注射剤)

SGLT-2阻害薬

DAPA-HF試験EMPEROR-Reduced試験において、左室駆出率の低下した慢性心不全患者さんの『心血管死と心不全悪化による入院の主要複合イベント』をプラセボ群と比較して有意に低下させています。

2剤や3剤併用する必要のある患者さんであれば、GLP-1製剤とSGLT-2阻害薬を併用する選択肢もあります。

両薬剤の課題

どちらの薬剤も選択しにくい患者さんとしては高齢患者さんです。特に痩せ型の患者さんです。

どちらの薬剤も体重が減る方向に向かいます。痩せ型の患者さんの体重が落ちるということは筋肉量が落ちてしまいます。夏場の熱中症や運動機能低下が心配です。
また、脱水になることでの動脈硬化も心配です。

経口GLP-1製剤を選択する場合

・少しでもHbA1cを下げたい患者さん

PIONEER2試験において、経口セマグルチド14mgはエンパグリフロジン25mgと比較して、HbA1c低下作用が強いという結果が出ています。

・食欲過剰な患者さん

GLP-1の作用として、食欲中枢の抑制と、胃の排泄遅延があります。これからの作用が体重減少に貢献します。ただ、胃腸症状の副作用の原因にもなります。
本来糖尿病患者さんにとって、多少の胃腸症状は必要なことと思います。副作用にはなりますが、効果の延長線上のものでもあります。

SGLT-2阻害薬を選択する場合

基本的にSGLT-2阻害薬を使用する

腎保護作用もGLP-1製剤よりも期待できる

インクレチン薬による腎保護作用は、腎血管系に対する血圧低下作用、腎尿細管NH3を介したNa利尿、ANP増加作用を介したNa利尿、TGF(Tuble-glomerular feedback:糸球体高血圧を是正し、糸球体障害を改善)を介した輸入再動脈収縮と腎内アンジオテンシンⅡ低下による輸出再動脈拡張による糸球体内圧低下を惹起することによる。糸球体内圧低下は、アルブミン尿低下を惹起し腎保護的に作用する。(SGLT2阻害薬と類似するが、インクレチン薬の主たる薬理作用であるNa利尿作用は、利尿薬としての薬理作用は強くないため、TGFを介した腎保護機序の関与度は、SGLT2阻害薬に比較して低いと考えられる)
(Care Netより引用:https://www.carenet.com/news/clear/journal/48266)

要するに、糸球体内圧を低下させる作用がGLP-1製剤よりもSGLT-2阻害薬の方が強いため、SGLT-2阻害薬の方が腎保護作用が強いということです。

・浮腫のある患者さん

同上

PIONEER2

目的
メトホルミン(≧1,500 mg)投与下でコントロール不良の2型糖尿病患者において,経口GLP-1受容体作動薬セマグルチド14mgの有効性と安全性をSGLT2阻害薬エンパグリフロジン25mgと比較した
・一次エンドポイントはベースラインから26週後までのHbA1cの変化
・二次エンドポイントはベースラインから26週後までの体重の変化
・metformin(≧1,500 mg)投与下の成人2型糖尿病患者822例。

結果
・経口セマグルチド群でエンパグリフロジン群にくらべ,有意にHbA1cが低下した( -1.3% vs. -0.9%,推定治療差[ETD] -0.4%[95%CI –0.6 to -0.3],p<0.0001)
・26週後の体重については,経口セマグルチドの優越性は認められなかった
・消化管の有害事象は,経口セマグルチド群で多くみられた(嘔気:21例 vs. 2例,嘔吐:11例 vs. 1例)

結論
メトホルミン服用中の患者において、経口セマグルチド14mgはエンパグリフロジン25mgと比較して、HbA1c低下作用が強く、胃腸症状も多く発現する

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