服薬指導

薬剤師の対応『頭痛を訴える患者さん③』


こんにちは。 マサです。

調剤薬局にて薬剤師として働いています。

あなたは患者さんから頭痛の相談を受けた経験がありますか?
その時に、OTCで対処した方が良いのか市販薬で様子を見て良いのか悩んだ経験はありませんか?
今回からシリーズで頭痛に関する対応を記事にしたいと思います。

私が作成した『頭痛のフローチャート』をご覧ください。

頭痛:フローチャート

書籍3冊とインターネット上で調べたことをまとめて作成しました。これ以外にも頭痛の原因になる疾患はあります。
その時には、目の前にいる患者さんの現病や既往歴から推測することも必要になります。

 

頭痛を訴える患者さん

ある一人の患者さんが来局されました。

頭痛が出るから頭痛薬が欲しいけれど、効くお薬を売っている?
おじいちゃん

マサ
痛みがあるのはご本人ですか?

そうだよ。
おじいちゃん

マサ
以前にも同様な痛みがありましたか?

ない。初めての痛み。
おじいちゃん

マサ
半身性の症状やめまいなどの症状がありますか?

ない。
おじいちゃん

マサ
頭をぶつけた記憶はありますか?

ないと思う。
おじいちゃん

マサ
症状が出始めたのはいつからですか?

昨晩寝ている時に頭痛で起きた。
おじいちゃん

マサ
仰向けで寝ている時に、顎が胸につかないことがありましたか?(項部硬直の確認)

わからない。
おじいちゃん

マサ
先ほども聞きましたが、一時的に半身性の痺れや脱力感などを生じることや、生じたけれどすぐに治った、ということもないですか?

ない。
おじいちゃん

マサ
頸を回すと痛みが増すことはありますか?

ない。
おじいちゃん

マサ
目に症状がありますか? あればどんな症状ですか?

目の奥がとても痛くて、『えぐられるような痛み』
おじいちゃん

マサ
右眼が充血していて、涙目ですが、痛みのは右側ですか?

そう。
おじいちゃん

マサ
何か他に症状がありますか?

風邪なのか鼻が詰まったり、鼻汁が出たりするくらい。
おじいちゃん

マサ
頭痛が生じている時間はどれくらいありましたか?

正確には覚えていないけれど、30分から1時間程度だったと思う。
おじいちゃん

マサ
現在のご年齢と、何か治療している病気があるかお聞きしても良いですか?

42歳。治療している病気はない。
おじいちゃん

マサ
おそらく『群発性頭痛』だと思います。
『群発性頭痛』は市販のお薬が効きにくいので、できれば脳神経外科を受診することをオススメします。また、症状が1−2ヶ月続くかもしれませんし、夜間に生じやすい特徴があります。夜間に生じると救急を受診するしかありませんが、専門医が当直でいるかわかりません。今のうちに受診して診察を受けることをオススメします。
また、飲酒が頭痛を引き起こすかもしれませんので、頭痛が治るまでは飲酒を控えた方が良いと思います。

 

群発頭痛の服薬指導

・夜間に発作を生じやすいため、発作が起きている間は寝不足になりやすいです。日中に睡眠を取れるように環境調節をし、睡眠が取れないのであれば運転や機械作業を控えましょう。

・頭痛は通常15分から1時間程度で自然に治ります。

・頭痛は1日1回から数回生じることがあります。

・頭痛は1年のうち、限られた1−2ヶ月の間に生じやすく、連日生じることも多いです。お薬に余裕があるようにしてください。

・頭痛が生じた時は、痛みや脳の興奮のために歩き回ったり、普段と違う行動を取ることがあります。家族に伝えてください。

・後遺症や死亡リスクはない、と言われています。心配しないでください。

・頭痛は秋や春の季節の変わり目に生じやすいと言われています。仕事や生活をコントロールすることをオススメします。

・頭痛を生じた時は、痛みのある側と同じ目からの涙や鼻汁、鼻閉を生じることがあります。症状があっても心配しないでください。

・頭痛を生じている期間はアルコールを控えてください。頭痛が治ってしまえばアルコールを飲んでも構いません。

・前兆として、寝つきの悪さ、夜間の突然の覚醒、もしくは顔面の額のあたりの赤らみなどがあります。疑わしい場合は、生活環境を整えることや、手持ちのお薬が少ない場合は受診することをオススメします。

群発性頭痛の特徴

・群発性頭痛は三叉神経痛、自律神経性頭痛、SUNCT(結膜充血及び流涙を伴う短時間持続性片側神経痛様頭痛発作(Short-lasting-unilateral neuralgiform headche with conjunctival injection and tearing:SUNCT)とまとめて考えられることがある。
区別は下記を参考にしてください。
群発頭痛と区別
・慢性群発頭痛は欧米では群発頭痛の1~2割に認めますが日本人は数%しかいない
・群発期は半年から2年に1回程度起こり、ひとたび起こると1-2か月持続する
・群発期が1年以上続くことがあり、この場合を慢性群発頭痛という
・一年のうち、限られた数週間から数か月の間に連日連夜の如く集中的に起こり、またその期間中、脳は異常な興奮状態を繰り返す。そのため、ひっきりなしに歩き回る。不穏が非常に重症化し,奇異な行動に至ることがある
・睡眠中の毎日決まった時刻、春先や秋口あるいは年末になど季節の変わり目に多い
・有病率は10万人あたり56-401人程度と報告されており, 片頭痛よりも少ない(慢性頭痛の診療ガイドライン2013)
・後遺症や死亡などのリスクはないと言われている
・気圧の急激な変化も頭痛を引き起こすことがあるので、登山や飛行機に注意
・アルコールによって引き起こされることがある

群発頭痛の症状

・「目玉がえぐられるような痛み」と表現する患者もいるほどの激痛
・前頭部から側頭部にかけての締め付けられるような強烈な痛み
・通常15分から1時間以内に自然に治まる
・1日1回から数回痛みがある
・眼窩周囲または側頭部に一側性の耐え難い疼痛を引き起こし,同側眼瞼下垂,流涙,鼻漏,鼻閉を伴う

群発頭痛の予防

・神経細胞膜の安定化作用のあるベラパミル塩酸塩(ワソラン錠)や、大脳皮質の過敏性を抑える効果のあるバルプロ酸ナトリウム(デパケン錠、セレニカ錠)など

群発頭痛の治療

発作予防

・短期間の効果を得るためにプレドニゾンまたは大後頭神経ブロックを,長期間の効果を得るためにベラパミル,リチウム,トピラマートを用いる。

発作治療

・頭痛発作が激烈な初期の2週間ぐらいに限り、神経や脳血管の腫れをとる作用を持つ副腎皮質ホルモンを併用することがある
・鎮痛剤が効かないことも多いため、翼口蓋神経節ブロックという専門的な治療も行う
・ジヒドロエルゴタミン、医療機関での純酸素を15分程度吸入(市販の酸素スプレー缶では短時間で終了するため効果が期待できない)
・発作急性期にスマトリプタン(点鼻:保険適応外、自己注射:保険適応)。他のトリプタン系(内服)でも効果が得られることがある

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