お薬について

薬剤師が調べた糖尿病薬『グリニド』の違い 各種文献を参考にまとめました


こんにちは。 マサです。

調剤薬局にて薬剤師として働いています。

今回は糖尿病治療薬であるグリニド系についてまとめました。

ミチグリニド(商品名:グルファスト)は海外文献を見つけられませんでしたので、ナテグリニド(商品名:ファスティック、スターシス)とレパグリニド(商品名:シュアポスト)の文献をご紹介します。

グリニドについて
・グリニドは食後血糖値をきっちりコントロールしたい場合や、痩せ型の高齢者でインスリン分泌促進薬を使用したいけれどSU薬の使用は怖い場合に選択する(夫婦薬剤師の意見)

・SU薬と同様にβ細胞のSU受容体を介してインスリン分泌を促進するが、SU薬に比べて作用時間が速く、作用持続時間は短い(3〜4時間)ため、一般に常用量での相対力価は弱い。
その機序から、SU薬とは併用しない。
膵疾患に伴う糖尿病など、β細胞機能が高度に低下した症例では使用してはならない(糖尿病診療ガイドライン2019より)

・食後高血糖が見られる患者に適した薬物である。食後服用では吸収が阻害され、また食前30分では低血糖の危険性が増すため、食直前の服用が必要である(糖尿病診療ガイドライン2019より)

・副作用として低血糖が起こりうるが、SU薬より頻度は少ない。
しかし、肝・腎障害のある患者では低血糖リスクが高まるため慎重に使用する。
透析患者にはナテグリニドは禁忌。ミチグリニドとレパグリニドは慎重投与となっている(糖尿病診療ガイドライン2019より)

・心血管疾患または心血管リスクを有する耐糖能異常患者において、ナテグリニドは5年間使用しても糖尿病の発症および心血管疾患の抑制効果がない(NAVIGATOR試験より)

・食後血糖値低下効果はレパグリニド群とナテグリニド群で同様であった(Repaglinide vs. Nateglinide Comparison Studyより)

・HbA1cと空腹時血糖値の低下は、レパグリニド群がナテグリニド群よりも有意に大きかった(Repaglinide vs. Nateglinide Comparison Studyより)

・65歳以上、75歳以上の2型糖尿病患者において、レパグリニドはグリベンクラミドと比較して低血糖のイベントが少なかった(Paga G, et al.より)

・レパグリニドとグリベンクラミドを比較して食後2時間値に有意差はなかったが、空腹時血糖値とHbA1cはレパグリニド群において有意に低下した(Paga G, et al.より)

・グリメピリド、グリベンクラミド、グリピジド、トルブタミドによる単剤療法は、メトホルミンと比較して死亡率と心血管リスクの増加に関連していたが、グリクラジド、レパグリニドはメトホルミンと統計的な差が認められなかった(Schramm TK, et al.より)

・効果発現までの速さ:ミチグリニド(Tmax:0.25hr)>レパグリニド(Tmax:0.55hr)>ナテグリニド(Tmax:1.3hr)

・効果持続時間:レパグリニド(t1/2:0.8hr)>ナテグリニド(t1/2:1.2hr)>ミチグリニド(t1/2:1.2hr)
(*レパグリニドの半減期は短いが、半分まで落ちてから長く効いています)

SU薬の違いについては下記の記事をご覧ください


α-GIの違いについては下記をご覧ください
薬剤師が調べた糖尿病薬『α-GI』の違い 各種文献を参考にまとめました

こんにちは。 マサです。 調剤薬局にて薬剤師として働いています。 今回は糖尿病治療薬であるαーグルコシダーゼ阻害薬(αーGI)についてまとめました。 ミグリトールについては文献を発見できませんでしたの ...

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NAVIGATOR試験

目的
耐糖能異常を有する患者におけるナテグリニドによる糖尿病や心血管イベントの発症抑制効果を検討

デザイン
プラセボとの二重盲検ランダム化比較試験(RCT)

追跡期間
中央値:5年間

対象者
耐糖能異常と心血管疾患または心血管疾患リスクのいずれかを有する9,306人、空腹時血糖値95mg/dL〜126mg/dL(登録時のHbA1cは両群とも5.8%であった)

方法
ナテグリニド1日最大60mgを1日3回(4,645例)またはブラセボ(4.661例)

結果
・ナテグリニドは糖尿病の発症抑制率はプラセボと同等であった(36% vs. 34% HR:1.07 95%Cl 1.00〜1.15)
・心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、心不全による入院、動脈血行再建術、不安定狭心症による入院からなる複合心血管疾患の発症率は、プラセボと同等であった(14.2% vs. 15.2% HR:0.93 95%Cl:0.83〜1.03)
・心血管死、非致死的心筋梗塞、非致死的脳卒中、心不全からなる心血管疾患発症率は、プラセボと同等であった(7.9% vs. 8.3% HR:0.94 95%Cl 0.82〜1.09)
・糖尿病と診断された時のHbA1cはナテグリニド群で6.1%、プラセボ群で6.3%

結論
・心血管疾患または心血管リスクを有する耐糖能異常患者において、ナテグリニドは5年間使用しても糖尿病の発症および心血管疾患の抑制効果がない

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Repaglinide vs. Nateglinide Comparison Study

 

目的
ナテグリニドとレパグリニドの効果(HbA1cと空腹時血糖値)比較試験

デザイン
無作為、並行群間、非盲検、多施設

追跡期間
16週間

対象者
・登録された150名のHbA1cは7%〜12%で食事療法と運動療法による治療を3ヶ月間実施
・ベースラインの平均HbA1cは両群とも8.9%

方法
・ナテグリニド(74例)は60mg〜120mg/食事の単独、レパグリニド(76例)は0.5mg〜4mg/食事の単独

結果
・最終的なHbA1cはレパグリニド群がナテグリニド群よりも有意に低かった(7.3% vs. 7.9%)
・平均空腹時血糖値はレパグリニド群がナテグリニド群よりも有意に低かった(-57 vs. -18mg/dL)
・HbA1c7%未満達成者はレパグリニド群で54%、ナテグリニド群で42%であった
・血糖値50mg/dL未満の低血糖を生じた患者はレパグリニド群で7%(5人)、ナテグリニド群で0であった
・試験終了時の平均体重増加はレパグリニド群で1.8kg、ナテグリニド群で0.7kgであった

結論
・食後血糖値低下効果はレパグリニド群とナテグリニド群で同様であった
・HbA1cと空腹時血糖値の低下は、レパグリニド群がナテグリニド群よりも有意に大きかった

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Paga G, et al.

目的
2型糖尿病を有する高齢者におけるグリベンクラミドとレパグリニドの安全性比較試験

デザイン
無作為化、非盲検、クロスオーバー、2期間

追跡期間
24週間

対象者
・65歳以上、過去に食事療法または経口血糖効果薬にて治療をしていた患者

方法
・レパグリニドの初期投与量は1mg、治療量は3〜6mg(平均4.1mg/日)、試験開始前のHbA1c:7.64%
・グリベンクラミドの初期投与量は5mg、5〜10mg(平均6.1mg/日)、試験開始前のHbA1c:7.50%

結果
・血糖値72mg/dL未満はレパグリニド群で33例、グリベンクラミド群で70例であり、レパグリニド群で有意に少なかった
・血糖値59mg/dL未満はレパグリニド群で24例、グリベンクラミド群で53例であり、レパグリニド群で有意に少なかった
・血糖値49mg/dL未満はレパグリニド群で10例、グリベンクラミド群で23例であり、レパグリニド群で有意に少なかった
・試験終了時のHbA1cはレパグリニド群で6.87%、グリベンクラミド群で7.14%であり、レパグリニド群で有意に低かった
・空腹時血糖値はレパグリニド群で119mg/dL(試験開始時:137.5mg/dL)、グリベンクラミド群で130.5mg/dL、(試験開始前:130mg/dL)であり、レパグリニド群で有意に低下した
・食後2時間血糖値はレパグリニド群で143.6mg/dL(試験開始時:160.7g/dL)、グリベンクラミド群で152.8mg/dL、(試験開始前:157.0mg/dL)であり、有意差はなかった

結論
・65歳以上、75歳以上の2型糖尿病患者において、レパグリニドはグリベンクラミドと比較して低血糖のイベントが少なかった
・食後2時間値に有意差はなかったが、空腹時血糖値とHbA1cはレパグリニド群において有意に低下した

注意点
日本でのレパグリニドの使用量は最大1回1mgであり、通常1回0.25〜0.5mg/dLです。
日本で使用する最大量よりも平均量で1.5倍、最大量で2倍使用していることを考慮して結果を確認する必要があります。

グリベンクラミドは1日1回〜2回、1日1.25mg〜2.5mg、1日最大10mgまで使用することができます。

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Schramm TK, et al.

目的
2型糖尿病患者におけるインスリン分泌促進薬の死亡率および心血管リスクをメトホルミンと比較検討

デザイン
コホート

追跡期間
9年間(中央値3.3年)

対象者
2型糖尿病患者107,806例(心筋梗塞の既往あり:9,607例、既往なし:98,199例)
1997年〜2006年に単剤のインスリン分泌促進薬またはメトホルミンを開始

除外基準:インスリン使用者または併用療法者

方法
デンマークの全国的な登録簿を活用

結果
・心筋梗塞の既往ありの集団(メトホルミンと比較したハザード比および95%信頼区間)
グリメピリド:1.30(1.11-1.44)、グリベンクラミド:1.47(1.22-1.76)、グリピジド:1.53(1.23-1.89)、トルブタミド:1.47(1.17-1.84)、グリクラジド:0.90(0.68-1.20)、レパグリニド:1.29(0.86-1.94)

・心筋梗塞の既往なしの集団(メトホルミンと比較したハザード比および95%信頼区間)
グリメピリド:1.32(1.24-1.40)、グリベンクラミド:1.19(1.11-1.28)、グリピジド:1.27(1.17-1.39)、トルブタミド:1.28(1.17-1.39)、グリクラジド:1.05(0.94-1.16)、レパグリニド:0.97(0.81-1.15)

結論
・グリメピリド、グリベンクラミド、グリピジド、トルブタミドによる単剤療法は、メトホルミンと比較して死亡率と心血管リスクの増加に関連している
・グリクラジド、レパグリニドはメトホルミンと統計的な差が認められなかった

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