服薬指導

薬剤師の服薬指導『糖尿病性腎症』について


 

こんにちは。 マサです。

 

『糖尿病の合併症で腎臓が悪くなることがある、と聞いたけれど詳しくはわからないし、透析になるのは怖い』と相談されることはありませんか?

 

糖尿病の合併症には、細い血管に生じる合併症(網膜症、腎症、神経障害)と太い血管に生じる合併症(心筋梗塞、脳梗塞、動脈硬化)などがあります。

 

私は毎日糖尿病の患者さんとお話をしており、質問を受けます。今回は『糖尿病性腎症』を記事にしました。

私は、ここに書いたことを考えながら服薬指導をしています。

 

目次

・腎臓に合併症を起こす理由は、腎臓の細い血管に負担がかかるため

・基本的に糖尿病性腎症の症状はない

・治療は悪化させないことが目的

・糖尿病性腎症になるのは、糖尿病治療を開始して15年以上してから

・腎臓機能の確認は、血液検査と尿検査

・基本的にはすぐに腎臓専門医を受診する必要はない

・最終的には『透析』が必要になる

・最後に薬剤師として患者さんにお伝えすること

 

腎臓に合併症を起こす理由は、腎臓の細い血管に負担がかかるため

腎臓は太い血管から多くの血液が流れ込み、細い血管を使用して体中の老廃物をろ過しています。高血糖の状態は、血管の中に不純物が多い状態です。不純物が多いということは、血流が悪くなって血管を詰まらせることや、血管の壁に傷をつけやすくなります。そのため、血管が詰まったり、血管の壁が傷付いたりすることで腎臓の細胞が破壊されます。この腎臓の破壊が増していくことで糖尿病性腎症となります。

 

 

基本的に糖尿病性腎症の症状はない

腎機能が低下してきても、重症化しないと基本的に症状はないです。なので、症状が出てきたら治療を開始しようと考えても、それでは遅すぎます。

また、出てくる症状が腎臓特有ではないため、検査をしないと原因がわかりません。

症状としては『むくみ』、『尿量の異常(色や回数)』、『息切れ』、『貧血』などがあります。

 

 

治療は悪化させないことが目的

残念ながら悪くなった腎臓を改善する薬はありません。最終的には透析や腎臓移植になります。

そのため、いかに腎臓の機能を落とさないかが大切になります。

 

 

糖尿病性腎症になるのは、糖尿病治療を開始して15年以上してから

基本的には長い時間をかけて腎臓を破壊していきます。

腎臓の機能を長く正常に保つためには、血糖値の管理と血圧の管理がとても大切になります。

なぜなら、高血圧も血管の壁を傷つけるためです。

腎機能を正常に保つために、血糖値はHbA1c7%未満を目指し、可能であればさらに下げることをオススメします。糖尿病に高血圧を合併している場合は、病院での血圧を130 / 80未満、自宅での血圧を125 / 75未満を目指します。ただし、年齢やその他の病気などを考慮して最終的に判断します。

 

 

腎臓機能の確認は、血液検査と尿検査

 尿検査

尿検査では、タンパク尿が出ているかどうかを調べます。

腎機能の低下が血液検査の結果に表れる前から、尿検査にてタンパク尿が出始めることが多いです。

そのため、タンパク尿が継続して出ている方は、現在の血液検査での腎機能に異常がなくても、今後異常が出る可能性が高くなります。朝起きて最初の尿ではなく、2回目以降の尿が泡立つ方は尿中にタンパクが出ているかもしれません。患者さんが自宅で確認する方法です。

 

 血液検査

血液検査ではクレアチニン(CreかScr)やBUNを調べます。この値が高くなっている方は腎機能が低下してきている可能性があります。

ただし、クレアチニンは、筋力トレーニングや水分不足での検査、多量の肉を食べた後に高くなりやすいため、極めて高い数値でなければ一度の検査では判断しません。

 

クレアチニンが高く、BUNも高くなっている方は要注意です。

 

さらに、血液透析を考慮し始める目安として、GFRという数値があります。

正確なGFRを調べるためには、正確な尿検査が必要となるため、まずは血液検査のクレアチニンから目安値を算出することが一般的です。

血液検査の項目では、『eGFR』、『推算GFR』と記載されていることが多いです。

この数値が『30』を下回ると透析を考慮し、『15』を下回ると必要性が出てきます。

ただし、透析の開始は、年齢や日常生活の活動性、栄養状態などを考慮して最終判断となります。

正確な診断のためには腎臓専門医にて検査を受けることをオススメします。

 

 

基本的にはすぐに腎臓専門医を受診する必要はない

腎臓専門医を受診するのは、かかりつけ医から受診を勧められてからか、健康診断などで勧められてからで良いと思います。心配であれば、かかりつけ医に今の状態を確認することをオススメします。

もし、かかりつけ医がない場合は、最初から専門医を受診しても良いと思います。

かかりつけ医以外を受診する場合は、指摘を受けた時の検査結果と、過去の検査結果を一緒に持参することで経過が分かりやすくなります。

 

腎臓専門医は、『腎臓内科』の病院にいます。近くに『腎臓内科』がない場合は、『透析』を行っている病院をオススメします。『透析』を行っている病院もない場合は『泌尿器科』をオススメします。どうしてもわからない場合は、近くの薬局にて教えてもらうか、近くの内科を受診して相談することになると思います。

近くの内科を受診する時には、予め相談を受けてくれるかどうかの確認をオススメします。

 

最近ではインターネットにて簡単に調べることができるので、『腎臓専門医』の認定を受けているかどうかを病院のホームページにて確認することができます。『腎臓内科 〇〇県』、『腎臓専門医 〇〇県』にて検索できると思います。

継続して受診する必要があるかもしれないため、できれば自宅近くの病院から探すことをオススメします。

 

 

最終的には『透析』か『腎臓移植』が必要になる

腎臓機能を低下させないための治療を行っても、残念ながら腎臓機能が低下してしまう方がいます。

その場合は、最終的に『透析』か『腎臓移植』が必要になります。腎臓移植は狭き門になるため、ほとんどの場合で『透析』となります。

透析には『腹膜透析』と『血液透析』があります。

現在、透析を行っている方の『腹膜透析』と『血液透析』の割合は、『血液透析』が約95%になります。

『腹膜透析』は、1日に3−4回、1回30分程度行う方法と、夜間に1回機械を使用して行う方法があります。どちらも体にある腹膜を利用して透析を行います。

メリットは『血液透析』のように、週に3回の病院受診が必要ないため、生活における自由度が高いです。透析中の痛みもありません。病院受診も2週間に1回が多いです。

デメリットは5年程度すると、腹膜が弱るために『血液透析』に移行することになることや、ご自身で行うこと、腹膜に液を入れた時にお腹が張ること、毎日行う必要があることなどです。

『血液透析』は基本的に週に3回、1回4時間程度行います。

メリットはご自身で行う必要がなく病院に行けば行ってくれること、『腹膜透析』とは異なり毎日行わなくて良いこと、『腹膜透析』よりも体の毒素を取り除きやすいことなどです。

デメリットは1回4時間の透析時間と、それに伴う移動時間などの時間的制約があること、透析中は血圧が下がりやすいこと、心臓負担があることなどです。

 

 

最後に私が薬剤師として患者さんにお伝えすること

患者さんには早期から血圧と血糖値の管理をし、『透析』にならないように努力することをオススメします。

しかし、仕事や家庭の影響から十分な注意ができない方もいらっしゃいます。

もし、『透析』になってしまったとしても悲観的になる必要はありません。どうしても時間的な制約は生じますが、水分制限や食事注意を行うことで元気に生活している方が多くいます。運動することや旅行にも行けます。ただ、水分制限や食事制限を行っていない方の多くは、透析中の『血圧低下』や『こむら返り』、透析後の『だるさ』など、日常生活に支障を生じています。

あなたは『透析』とならないように努力するのか、『透析』となってから辛い思いをしないように努力するのか、何も努力せずに辛い思いをするのか、を選ぶことができます。

数年後、10年後、20年後にどのような生活をしていたいですか? 少しでも思い描く生活に近づけるようにしませんか。

 

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