こんにちは。 マサです。
調剤薬局にて薬剤師をしています。
あなたは、個別指導の時にどんな薬歴であれば良いのか不安になったことがありませんか?
私は不安な気持ちがありますが、当薬局の薬歴であれば80−90%大丈夫だろう、と自信があります。10−20%の不安は、まだ確認できていない項目のある薬歴が個別指導の対象になった時の不安です。
個別指導では、薬歴の中身だけでなく表書きの充実も求められるようになってきました。『薬剤使用期間中の患者フォローアップ』も義務化され、表書きの充実は必須です。
今回は薬歴の表書きの書き方・充実について記事にしたいと思います。
表書きとは、それを確認すればどんな患者さんかイメージが湧くように、患者さんの情報を記載してあるものと考えてください。
かかりつけ薬剤師指導料が新設され、今年の9月からは薬剤使用期間中の患者フォローアップも義務化されました。これをキッチリ行うためにはどうしても患者さんの表書き情報の充実が必要になります。また、日本薬剤師会が示している資料にもキッチリ明記されています。
3. 薬剤使用期間中の患者フォローアップとそれを行う上での基本的考え方
薬剤使用期間中の患者フォローアップとは、患者の来局時だけではなく、調剤した薬剤の使用期間中に適切な形で薬剤の使用状況、併用薬(一般用医薬品等を含む)、患者の状態や生活環境等を把握するとともに、薬学的知見に基づく分析‧評価から必要な対応を実施することにより、薬剤の使用期間中を通じて、患者が安心できる最適な薬物療法を提供する薬剤師の行動を指す。
日本薬剤師会のホームページにて紹介している手引きはこちら
・『薬歴の書き方を紹介』(表書き)
・生活リズム(食事時間・睡眠時間)
・患者状況を確認する目的は
・備考を記載する目的は
・嗜好品を確認する目的は
・飲酒を確認する目的は
・喫煙·副流煙を確認する目的は
『薬歴の書き方を紹介』(表書き)
薬歴の中身について気になるかたは、下記の記事をご覧ください。
-
-
薬歴の書き方が不安な方は必読!!『薬歴の書き方を紹介①』
こんにちは。 マサです。 調剤薬局にて薬剤師をしています。 個別指導の時にどんな薬歴であれば良いのか不安になりませんか? 今回は薬歴の書き方について記事にしま ...
続きを見る
当薬局の表書きを下記に貼り付けます。そのまま載せることができないので、Excelに打ち直しました。
当薬局の表書き
当薬局にて表書きの記載について意識していることを下記にまとめます。よろしければ参考にしてください。
生活リズム(食事時間・睡眠時間)
食事時間を確認する目的は
・食事時間が決まると食事量が安定しやすい
・食事時間が不規則では欠食や過食に繋がりやすい
・薬の服用時間がわかる
・食事時間が決まると薬の服用時間が決まり、効果安定につながる
・1日の食事回数がわかるので、薬の服用に影響するかどうかわかる
・糖尿病患者さんでは低血糖のリスクがわかる
・話の流れで交代勤務かどうかわかり、薬の服用に影響するかどうかわかる
就寝·起床時間を確認する目的は
・夕食から睡眠時間までの間隔がわかる→消化不良による睡眠への悪影響、体重増加への影響がわかる
・睡眠時間が短いと、体重増加や過食に影響する可能性がある
・起床時間が定まると、睡眠の安定につながる
・起床時間が決まらないと、朝すっきり目覚めにくくなる。朝が起きにくくなる
・睡眠時間が短いと、脳の温度中枢の機能が弱まり熱中症のリスクが増す
・睡眠時間が短いと交感神経が働いている時間が長くなる。そうなるとイライラしやすくなる、ストレスが溜まりやすくなる、集中力が低下して仕事でミスをしやすくなる、転倒などによる怪我につながりやすい、うつ病になりやすい
・うまく寝付けない患者さんには寝る前に飲酒するかどうかも確認できる
生活リズムの聞き方
・「この薬は朝食後ですが、朝食は何時に食べますか?」の流れから昼食時間も夕食時間も聞きます。
「なんで ?」と質問されたら、「食事時間がわかると体調管理に役立ちます。食事間隔が4時間以内になると他の食事が欠食になったり過食になったりしやすくなります。なので確認しています。」と返答します。
当薬局ではニフェジピンL錠やエクア錠が多く処方されます。そのため、「効果安定のためにもだいたい12時間間隔にて服用になると良いのですが、食事時間を教えていただいてもよいですか?」と聞くことがあります。このように質問すると、「食後でなくても時間で服用した方が良いの?」と質問されますので、「忘れずに服用することを優先に考えてください。」と返答します。
・「睡眠時間はどれくらいありますか?」と聞きます。「6時間くらいかな?」と返答があれば、患者さんの年齢を考慮しながら、「0時頃から6時頃までですか?」と聞きます。「なんで ?」と質問されたら、「少なくても6時間以上の睡眠を確保しないと、体調を崩したり太りやすくなったり、過食になったりと体に負担をかけやすくなります。また、睡眠時間が短いことで交感神経が働いている時間が長く、血圧上昇や心臓負担が大きくなります。」と返答します。
また、そのまま、「昼寝はしますか?」とも聞きます。する患者さんには寝ている時間も聞きます。
患者状況を確認する目的は
・『食事状況』を確認するため(朝食は軽め、夕食が多め、早食い、夕食はご飯を抜いている、朝食はパンとヨーグルト、夜は魚、昼食は麺類、麺類の時はおかずを食べない、食事は3食自炊、昼は宅配弁当、昼はコンビニ弁当、夕食はお惣菜など)
・『運動状況』を確認するため(運動しない、週に2回運動する、休日だけ運動する、毎朝運動する、1時間歩く、ジムに通って運動している、運動は犬の散歩、運動は主に筋トレ、運動内容はラジオ体操、運動は寝る前のストレッチ、仕事での活動量が多いので自宅では運動しない、膝が痛いので運動しない、腰が痛いので運動しない、夏は暑いので運動しない、冬は寒いので運動しないなど)
・『患者さんの思い』を確認するため(就業規則に影響しなければどんな数値でも構わない、100歳まで生きたい、孫の結婚式まで生きていたい、80歳になってもゴルフをしたい、合併症はどうしても嫌、糖尿病にはなりたくない、インスリン注射は絶対嫌、薬を増やしたくないなど)
・『目標値』を確認するため(目標HbA1c:7%未満、目標LDL:140mg/dL未満、目標体重:60kg未満など)→患者さんの思いと重なることもあるかもしれません。
・『注射の使用状況』を確認するため(空打ち2単位、SMBGの数値によってインスリン単位変更、肥厚部を避けて注射、開封品も冷所保管、専用ポーチを活用など)
・『薬の管理』を確認するため(薬袋のまま保管、ケースに入れ替えて保管、ケースは曜日ごとに分けられる、お薬カレンダーを活用、飲み忘れなし、お薬は持ち歩く、1週間分の予備が欲しい、妻が管理、子供や孫が用意してくれる、朝起きたらその日服用する薬を用意する、服用確認のために服用した薬のヒートはその日最後の服用が終わるまで残すなど)
・『服用状況』を確認するため(食前・食後の薬の全てを食前に服用する、朝は忙しいので朝食後ではなく起床時に服用、朝に飲み忘れたら気づいた時に服用する、夕食後の薬は寝る前に服用する、血圧が低い時は休薬する、血糖値が低い時は食後服用にするなど)
・『生活状況』を確認するため(独り暮らし、孫と同居、同じ敷地内に息子夫婦が住んでいる、毎朝お墓参りする、午後は孫のお世話、夕食後に一度睡眠をとって2時間後に再度起きて家事をするなど)
患者状況の聞き方
直接聞いて構いません。
「なんで?」と聞かれたら、「体重管理や過食防止のために食事時間を聞いています」、「運動状況や強度などの確認です」、「服用間違い防止や服用しやすくなる方法の提案などのために確認しています」などと返答します。
備考を記載する目的は
・お薬の追加や変更の記録を残します。血圧の薬が変更になる時期が冬場なのか、夏場なのか関係ないのかなどが分かります。
・いつからお薬を服用しているのか分かります。
・お薬の内容が変更ない場合、いつから変更ないのかが分かります。
・薬の追加や変更があった場合、その内容と理由を記載することで、患者さんの把握に役立ちます。
備考欄の聞き方
・聞き方はありません。変更になった日付と内容を記載します。
嗜好品を確認する目的は
・お煎餅が好きな患者さんは血圧上昇への影響がわかります。
・あぶら物をよく食べる患者さんはコレステロールが高くなりやすいことがわかります。
・甘いものが好きな患者さんは、血糖値や中性脂肪が高くなりやすいことがわかります。
・肉が好きで魚嫌いな患者さんは、中性脂肪の上昇や動脈硬化のリスクが高くなることがわかります。
嗜好品の聞き方
・「間食するならばどんなものをよく口にしますか?」患者さんが悩む様ならば、「甘い物が多いですか? しょっぱい物が多いですか?」
・「あぶら物をよく食べますか? それとも あっさりした物をよく食べますか?」
・「肉と野菜ではどちらを多く食べますか?」
・「野菜をしっかり食べますか?」、「サラダとして食べますか?」、「3食食べますか?」
・「止められない食べ物はありますか?」
「なんで?」と質問されたら、「今の患者さんの疾患に影響するものがあるかどうか確認しています。」と返答します。
飲酒を確認する目的は
・高血圧、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症とアルコールが多くなることで悪影響を受ける疾患が多くあります。
・飲酒する種類、量、頻度(休肝日)を確認します。
飲酒の聞き方
・「お酒を飲みますか?」と聞きます。飲酒される患者さんであれば、「飲酒はビールや焼酎など、どんな種類を飲みますか?」と聞きます。そのままの流れで聞けそうであれば、「飲酒はどれくらいの量を飲みますか?」、「休肝日はありますか?」聞けなそうであれば、次回来局時に確認します。
・働いている患者さんであれば、自宅での飲酒の有無にかかわらず、「仕事の付き合いで飲酒する機会はありますか?」と聞きます。その後、「付き合いで飲酒する時は、普段飲酒する時よりも量が多くなりますか?」とも聞きます。
「なんで?」と聞かれたら、「飲酒が疾患に影響しない量があります。そのため確認しています。」と返答します。
喫煙·副流煙を確認する目的は
・喫煙·副流煙は血管を硬くします。色々な合併症の予防や予測、新規疾患の発症にも関わります。
喫煙·副流煙の聞き方
・「おタバコは吸いますか?」と聞きます。吸う患者さんであれば、「紙タバコですか? それとも、最近増えてきた電子タバコですか?」と聞きます。その後、「1本を最後まで吸いますか? それとも半分程度で止めますか?」と聞きます。
・「おタバコは1日何本くらい吸いますか?」と聞きます。
・「周りでおタバコを吸う方がいますか?」と聞きます。もしいるようならば、「どれくらいの頻度でその方の煙を吸いますか?」と聞きます。
「なんで?」と聞かれたら、「喫煙や副流煙が疾患に悪影響を及ぼす可能性があります。なので確認しています。」と返答します。