服薬指導

薬剤師の服薬指導『未来を明るくする服薬指導』


こんにちは。 マサです。

あなたは、現在行っている服薬指導が本当に患者さんのためになっているのだろうか、患者さんのためになる服薬指導はどういったものだろうか、と悩むことはありませんか?

今回はそんな薬剤師に向けて記事を書きました。

未来を明るくする服薬指導

未来を明るくする服薬指導とは、『患者さんが前向きになって、それによって明るい未来に向かって行動してくれるようになる』服薬指導です。

具体例をあげます。

ある患者さんが1ヶ月ぶりに来局された時を想像してください。

患者さん背景
患者さん(70歳)、配偶者、息子夫婦(40歳)、二人の孫(小学5年生と3年生)の6人家族
楽しみは毎年1回の家族旅行。
趣味は将棋。パソコンの将棋ゲームをしたり、近所の公民館で友人と将棋をしたりが毎日の日課。
治療している疾患は高血圧で、服用している薬は降圧薬1種類。
その患者さんが、1ヶ月前にかかりつけ医から、「筋肉が少ないので今後膝の痛みがでるかもしれない。そうならないためにもウォーキングを開始しましょう。」と指導を受けました。

マサ
前回いらっしゃった時に、「これからウォーキングを始める」と言っていましたが、始めましたか?

始めたよ。まずは1日30分ウォーキングすることにした。
おじいちゃん

マサ
今後も続けられそうですか?

どうだろう。家で将棋をしていたほうが楽しいな。
おじいちゃん

この後、あなたは薬剤師としてどんな服薬指導をしますか?

A

マサ
日頃から将棋ばかりなので活動量が少ないです。活動量を増やす必要があると思いますので、ウォーキングを継続してください。

B
マサ
ウォーキングをすることで足の筋肉がつきます。膝の痛みを予防し易いですし、血圧のコントロールにもつながります。諦めずに継続してください。

C
マサ
楽しさでいったら将棋かもしれないですね。ただ、このまま膝の痛みが出なければ、今後も毎年楽しみにしている家族旅行に不自由なく行けます。お孫さんとの楽しい時間が待っています。諦めずにウォーキングの継続をオススメします。

どの服薬指導が患者さんの未来を明るくしてくれそうに思いますか。私はCだと思います。

 

別の患者さん

患者さん背景
患者さん(50歳)、配偶者、子供一人(25歳)の3人家族
楽しみは特になく、平日は仕事。帰ってきたらTVを見て過ごす。休日は家でゴロゴロ過ごす。
仕事はデスクワークで動かない。
治療している疾患は高血圧で、服用している薬は高圧薬1種類。
その患者さんが、1ヶ月前にかかりつけ医から、「体重が増えてきたので、このままでは血圧以外の病気になってしまうかもしれない。体重を落としましょう。」と指導を受けました。

マサ
前回いらっしゃった時に、「体重を落とすように」と指導を受けていらっしゃいましたが、その後少しは減りました?

まったく変わりがない。特に何もしていない。
おじいちゃん

この後、あなたは薬剤師としてどんな服薬指導をしますか?

D

マサ
日頃からデスクワークで体を動かしていません。運動してはどうでしょうか。

E
マサ
間食を止めること、寝る前3時間以内は間食や食事をしないこと、夕食を軽めにするなどはどうでしょうか。

F
マサ
定年を迎えて余裕ができた時に、何かやりたいことが見つかったとします。その時に病気の影響で諦めることになったり、制限をもうけられたりしては残念です。
やりたいことが見つかった時に、何の制限もなく楽しめるように、今から体重を落としませんか。

どの服薬指導が患者さんの未来を明るくしてくれそうに思いますか。私はFだと思います。

Fの服薬指導をした後に、DやEの服薬指導をすれば良いと思います。

 

患者さんの情報が大切

今回の例で言うと、未来を明るくする服薬指導は『患者さんの楽しみが分かっているから行える服薬指導だよね?』、『楽しみを知らなかったらできないんじゃないの?』と、思う方がいると思います。

その通りです。なので、患者さんの楽しみを聞いておくことが大切です。

患者さんの楽しみを聞き出す

私は、『楽しいことをしているとストレスが減ります。血圧コントロールにも良い効果があります。何か楽しみにしていることはありますか? 例えば旅行とか趣味とかありますか?』と聞くようにしています。

その他、『普段はどんなことをして過ごしているんですか?』と聞くこともあります。

ここでよくあることとして、『患者さんから「なんでそんなこと聞くの?」と聞かれた時に何て返答すれば良いのかわからないから、聞きにくいな。』と不安になるかもしれません。

なので、もし「なんでそんなこと聞くの?」と聞かれたら、「少しでも患者さんの健康や今の病気を管理するお役に立ちたいです。薬の注意点も変わってくるかもしれません。なので、患者さんのことを教えていただきたいです。」と返答してください。

私が聞いた時に教えてくれない患者さんは、日頃から何を聞いてもあまり答えてくれない患者さんです。それは仕方ありません。
「楽しみなんてない」、「趣味なんてない」と言う方もいると思います。それはそれで構いません。それが患者さんの情報になりますので、無駄なことはありません。

他の聞き出し方

・趣味とか楽しみとかありますか? 運動だったり、書道だったり、カラオケだったりなんでも良いです。

・趣味とか楽しみとかありますか? ウォーキングのように体を動かすことでも、反対に読書のように体を動かさないことでも良いです。

・趣味とか楽しみとかありますか? お孫さんのお世話や草木の手入れなどなんでも良いです。

・趣味とか楽しみとかありますか? 家庭菜園などなんでも良いです。

・毎日行っていることや毎日でなくても定期的に起こっていることはありますか? ウォーキングや日記、愛犬の散歩など、なんでも良いです。

 

まず聞く

聞き出し方は実際にやってみないとうまくいく聞き出しとそうでない聞き出しかわかりません。

私は数日前から、嗜好品(患者さんの好きな食べ物)の聞き出しに取り組んでいます。

最初は、「どうしても食べたいものや、我慢できないものなどありますか?」と聞いてみましたが、10人に聞いて1人しかこちらの意図した回答をくれませんでした。聞き方が悪かったとわかりました。

そのため、「間食するならばどういったものを食べますか? 甘いものですか? しょっぱいものですか?」、「好きな食事のメニューはなんですか?」、「外食する時に食べたいものはなんですか?」などと聞くように変えたら、うまく聞き出せるようになりました。

まず聞く。うまくいかなければ聞き方を変える。この繰り返しで良いと思います。おそらく1日か2日でうまくいく聞き出しが見つかると思います。聞き出しの引き出しが増えれば、組み合わせながら聞くことができるようになります。

 

最後に

今までやってこなかったから聞くのが怖いかもしれません。10人に聞いて5人の患者さんが嫌がらずに何かしら返答してくれれば成功と考えてください。もともと情報がないため聞いています。

教えてもらえなくてもマイナスではありません。教えてもらえればプラスです。

薬剤師が患者さんを恐れて聞き出しをしなければ、結果的に患者さんを不幸にしてしまうかもしれません。

反対に、うまく聞き出せたことで患者さんに関する情報が多ければ多いほど、患者さんの未来を明るくする服薬指導ができると思います。

患者さんの未来を明るくするために、すぐに行動しましょう。

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