薬剤師へ

『次回指導事項』が充実すると、患者さんへの影響力を高められる!!


こんにちは。 マサです。

調剤薬局にて薬剤師をしています。

あなたは薬歴の『次回指導事項』(『次回確認事項』)を力を入れていますか?
私が最も頭を使って記入する項目が『次回指導事項』です。
今回は『次回指導事項』に焦点を当てて考えていきます。

 

『次回指導事項』が充実すると、患者さんへの影響力を高められる

『次回指導事項』は今回話したことの流れで確認するものだから、悩むことはないんじゃないの?
または、今回確認できなかったことを次回確認するために記載するんじゃないの?
と考えませんか? その通りです。

でも、それだけではないです。
『次回指導事項』をうまく活用すれば、患者さんへの影響力を高められるようになります。
『次回指導事項』が充実するということは、患者さんに対して何を確認しよう、どのように服薬指導をしよう、と作戦を立てたことになります。

服薬指導を終えた後に立てた次回の作戦と、次回投薬前の限られた時間で立てた作戦では、どちらの作戦の方がうまくいく服薬指導につながりそうですか?
おそらく、服薬指導を終えた後に立てた作戦ではないでしょうか。

私の薬局であった事例を活用して考えてみます。

事例①

現病:2型糖尿病、性別:男性、年齢:50歳、HbA1c:7.5%、BMI:25

患者さんの情報
・今までも努力をして結果が出た時とそうでない時がある
・努力をした自覚があれば結果が出なかったとしても仕方がない、と考える自分に甘いところがある
・何かやろう、という熱意はある

マサ
今日は元気がないみたいですが、どうかしましたか?
先月の体重とHbA1cが悪くて今回はさらに悪くなったので、先生から薬の増量を提案された。先月の結果が悪かったことを覚えていたので、数日前からご飯を十六穀米に変えて体重を減らすように意識を始めた。始めたばかりだから今日は結果に出ないことが分かっていた。
だけど、今日の診察で先生から「薬を増やさずに努力で改善させたいのであれば、70%や80%の努力では足りない。100%の努力が必要です。」と指導があった。100%でやらなければならないと思うとガッカリした。
十六穀米は家族に不評だし、続けられるかわからない。
おじいちゃん
マサ
十六穀米で成果を出したい気持ちがあるならば継続しましょう。家族に不評であれば、時間のある時にあなた用に十六穀米を炊いて、1食分ずつ冷凍保存すれば良いです。
そうすれば、あなたは十六穀米を食べられます。さらに、1食分を100g、多くて120gにすることで、ご飯量も決められます。十六穀米を続けましょう。

上記の服薬指導をした時の『次回指導事項』を、あなたはどの様に書きますか?

今回私が書いた『次回指導事項』

『次回指導事項』
・十六穀米の継続有無と、体重・血糖値の改善があったか確認
→もし結果が出ていなければ、結果が出ていない事実を受け止めてもらい、先生の考える100%で取り組むか、薬を増やすかを本気で考える必要があることを指導。結果が出ていれば、継続させることを指導。
・今まで行ってきた努力が続いているか確認
→夕食のご飯を減らす、間食するならばカロリーを確認してから口にするなど。緩んでいるならば、それを自覚させる。

もしこれが

『次回指導事項』
・十六穀米にして体重と血糖値の改善があったか確認。なければ指導。

だけであった場合、患者さんの性格にあった服薬指導がキッチリ行われるでしょうか?

事例②

 

現病:2型糖尿病、高血圧、 性別:男性、年齢:65歳、HbA1c:7.6%、eGFR:65、BMI:30

前回の診察にて、たんぱく尿:3+、4+が続くため、主治医から腎臓専門医での精密検査を受ける様に指示があった

マサ
前回、主治医から腎臓の精密検査を勧められましたけれど、専門医を受診して検査しました?
してきたよ。大きな異常がない、とわかった。腎臓に負担をかけないお薬を開始して経過観察していくことになった。
おじいちゃん
マサ
今日は血圧を下げるお薬(ロサルタン錠50)が処方されました。このお薬が血圧を下げることと腎臓から出ていく血液量も増やすことで腎臓負担を軽減してくれます。結果としてたんぱく尿を減らすことが期待されます。継続して経過をみましょう。
今回の服薬指導について
患者さんの理解度を考慮して、お薬の説明だけに止めました。

上記の服薬指導をしたの時の『次回指導事項』を、あなたはどの様に書きますか?

今回私が書いた『次回指導事項』

『次回指導事項』
・新しい薬を開始してからのたんぱく尿の変化を確認。血圧変動を確認。

・腎臓検査にて大きな異常がなかったことで安心していないか?
→HbA1cとBMIが高値なので、今後腎機能が低下する可能性が大いにある。食事と運動療法にて血糖値と体重管理していくことの大切さを指導

もしこれが

『次回指導事項』
・たんぱく尿の変化を確認
・血圧変動を確認

だけであった場合、将来も腎機能が維持されるための服薬指導が行われたでしょうか?

最後に

いかがでしたか?
事例①でも②でも、簡潔な『次回指導事項』としても、次回の服薬指導が患者さんのためになる可能性はあります。
ですが、混雑時などでは、患者背景を十分に把握してからの服薬指導が難しくなることがあると思います。そういった時でも一目見て、何を指導しなければならないかが分かっていた方が良いのでないでしょうか。
また、服薬指導を終えた後と次の服薬指導前では、患者さんに対する熱意に差がありませんか? 次回の投薬者が代わってしまう場合、あなたと同じ熱意で服薬指導をしてくれますか?
私は同じ熱意での服薬指導が難しく、投薬者が代わればさらに難しいと思います。
さらに、表書きの情報が多くなってくると、服薬指導前の短時間でキッチリ理解して速やかに服薬指導に入ることは難しいと思います。そのため、薬歴記入のタイミングでしっかり『次回指導事項』を記載するようにしています。
ただ、かかりつけ薬剤師の場合でしたら、その患者さんの性格をしっかり理解していると思うので、簡単な記載でも問題ないかもしれません。

全ての患者さんに詳しく記載することは難しいと思いますし、必要があるかわかりません。必要な時には詳しくキッチリ記載すれば良いと思います。
今までやったことのない方であれば、1日1件から始めましょう。 既にやっている方は継続してください。

患者さんのためになることを一つひとつ行って、信頼される薬剤師を目指しませんか?

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