服薬指導

【簡単】薬剤師の服薬指導「甲状腺:バセドウ病①」


こんにちは。 マサです。

調剤薬局にて薬剤師をしています。

私が勤務している薬局は甲状腺と糖尿病の患者さんが多くいらっしゃいます。
私の薬局に応援に来てくれる薬剤師からは、甲状腺の服薬指導に困っている話を聞きます。
理由は、「何を指導して良いのかわからない」ためです。

私からすれば、そういった薬剤師はバセドウ病の服薬指導に接する機会が少ないだけで、決して難しい服薬指導ではありません。
バセドウ病は使用する薬も少ないし安定しやすい疾患です。

今回からシリーズで、私が行っているバセドウ病の服薬指導を紹介したいと思います。

バセドウ病治療の開始時

・バセドウ病は体の代謝が異常に亢進している状態です。それは何もしていなくてもフルマラソンを走っている状態と考えてください。
 フルマラソンを走っている状態で無理をしたら体がどうなるか考えてください。一時的には頑張れても、その分ひどく疲れたり、体に大きな負担をかけたりすることになります。それは今の患者さんの状態で運動をしたり仕事で無理をしたりしたらどうなるか、と一緒です。
 お薬の効果が出て、医師から許可が下りるまでは、運動や体に負担のかかることをなるべく控えてください。

・甲状腺が安定するまでに3ヶ月から4ヶ月かかることが多いです。それまでは、体に大きなストレスがかかってしまうと、大きく甲状腺が乱れることがあります。例えば抜歯をしたことで大きく乱れてしまうことがあります。歯科治療をするならば、医師の許可を得てからにしてください。

・治療を開始して3−4ヶ月は、2週間毎に血液検査をして状態を把握します。なぜならば、この間は甲状腺ホルモン量が変動しやすいためです。適切な量のお薬を服用して、早く体がラクになるためにも、キチキチ受診して検査を受けてください。また、ごくごく稀に生じる副作用の確認のためにも、血液検査がとても大切です。

・お薬が効いてくると体重が増えてきます。ちょうど良いところで止まってくれれば良いですが、そのまま体重が増えてしまう方も多くいます。
 それは治療前は食べてもやせてしまうため、脳が「たくさん食べないと危険」と覚えているためです。
 甲状腺が落ち着いても体重が増えてしまうようならば、意識的に食事量をコントロールしてください。

・お薬の効果を実感できるまでに1ヶ月程度かかります。
 それは、お薬は服用すれば効き始めるのでせすが、すでに血液中に放出されている甲状腺ホルモン量が低下するまでは、薬の効果を実感できないためです。
 

・チアマゾールについて

1日1回服用時:決められた時間に服用できなくても、気づいた時に服用してください。食前であっても食間になっても構いません。効果に変わりがありません。忘れて寝る前に服用し、翌朝起床時に服用しても構いません。それにより副作用が出やすくなる心配もありません。

1日2回や3回服用:決められた時間に服用できなければ、気づいた時や次の服用時にまとめて服用してください。極端なことを言えば、1日量を1日1回で服用することができるお薬です。2回や3回に分けるのは、体がお薬に慣れていないため、びっくりしてしまうことを防ぐためです。飲み忘れてしまうよりも1日量をきっちり服用する方が大切です。

・プロピルチオウラシルについて

このお薬は服用してから効いている時間が短いお薬です。なので、1日2回や3回に分けて服用する必要があります。ただ、飲み忘れてしまった場合は時間がずれても構いませんので、気づいた時に服用してください。食前や食間を気にしなくても良いです。また、1日量を1回に服用することになっても構いません。きっちり1日量を服用することを優先してください。
 

治療安定期(5ヶ月目以降で、薬量がだいたい決まった時)

・状態が落ち着くと薬の服用を忘れる方が増えてきます。中途半端に治療をすると、薬を中止することができなかったり、中止までに時間がかかったりします。キチキチ服用してください。

・安定している甲状腺が乱れる原因として、大きな生活の変化があります。例えば転職、交代勤務に変わる、引越し、睡眠時間が短くなる、強いストレスが続いた時には注意です。
(私は今まで、10年程度安定していた患者さんが、交代勤務になったことで甲状腺が乱れてしまったことを経験しています。)

・甲状腺が安定していれば、好きなスポーツをしても構いません。体を動かして楽しむことやストレス発散をしてください。

・もしチアマゾールを間違って2日分服用してしまったら、翌日休薬してください。翌日に休薬すればバランスが取れます。間違って2日分服用しても、副作用が出やすくなることはありません。

・もしチアマゾールの服用を忘れてしまったら、翌日に服用しても構いません。2日間で決まった量を服用すれば良いと考えてください。ですが、毎日決まった量を服用する習慣をつけておく方が、結果として服用忘れを防止できます。
 
上記を指導したら、あとは患者さんの状態確認をします。
確認することは下記です。年齢と性別によって出やすい症状に違いがあります。
上から生じやすい症状です。

40歳未満の女性患者さん

・甲状腺が腫れたような気がすれば相談してください。(喉の閉塞感は感じない)
・動悸や息切れの症状はありませんか? 症状が続くようならば相談してください。
・手の震えは出ていませんか? 症状が続くようならば相談してください。
・理由なく全身の怠さが続いていませんか?または普段感じない怠さが続いていませんか? 朝起きた時も怠さを感じるようならば相談してください。
・そんなに暑くもないのに汗が出ることはありませんか? 気になるほどの症状が出てきたら相談してください。
・理由なく1週間で体重が2kg以上減ってしまうことはありませんか? あれば相談してください。
・食欲はありますか?普段通りに食べられますか? 原因不明に食欲が落ちてしまうようならば相談してください。
 

40−60歳の女性患者さん

・理由なく1週間で体重が2kg以上減ってしまうことはありませんか? あれば相談してください。
・手の震えは出ていませんか? 症状が続くようならば相談してください。
・動悸や息切れの症状はありませんか? 症状が続くようならば相談してください。
・そんなに暑くもないのに汗が出ることはありませんか? 気になるほどの症状が出てきたら相談してください。
・理由なく全身の怠さが続いていませんか?または普段感じない怠さが続いていませんか? 朝起きた時も怠さを感じるようならば相談してください。
 

60歳以上の女性患者さん

・理由なく1週間で体重が2kg以上減ってしまうことはありませんか? あれば相談してください。
・手の震えは出ていませんか? 症状が続くようならば相談してください。
・そんなに暑くもないのに汗が出ることはありませんか? 気になるほどの症状が出てきたら相談してください。
・動悸や息切れの症状はありませんか? 症状が続くようならば相談してください。
・食欲はありますか?普段通りに食べられますか? 原因不明に食欲が落ちてしまうようならば相談してください。
 

40歳未満の男性患者さん

・理由なく1週間で体重が2kg以上減ってしまうことはありませんか? あれば相談してください。
・手の震えは出ていませんか? 症状が続くようならば相談してください。
・動悸や息切れの症状はありませんか? 症状が続くようならば相談してください。
・そんなに暑くもないのに汗が出ることはありませんか? 気になるほどの症状が出てきたら相談してください。
・理由なく全身の怠さが続いていませんか?または普段感じない怠さが続いていませんか? 朝起きた時も怠さを感じるようならば相談してください。
・甲状腺が腫れたような気がすれば相談してください。(喉の閉塞感は感じない)
 

40−60歳の男性患者さん

・理由なく全身の怠さが続いていませんか?または普段感じない怠さが続いていませんか? 朝起きた時も怠さを感じるようならば相談してください。
・理由なく1週間で体重が2kg以上減ってしまうことはありませんか? あれば相談してください。
・動悸や息切れの症状はありませんか? 症状が続くようならば相談してください。
・手の震えは出ていませんか? 症状が続くようならば相談してください。
 

60歳以上の男性患者さん

・理由なく1週間で体重が2kg以上減ってしまうことはありませんか? あれば相談してください。
・動悸や息切れの症状はありませんか? 症状が続くようならば相談してください。
・理由なく全身の怠さが続いていませんか?または普段感じない怠さが続いていませんか? 朝起きた時も怠さを感じるようならば相談してください。
・痕のつかない足の浮腫みはありませんか? もし時間帯に関係なく続くようならば相談してください。
 

副作用について

・お薬を開始してから4ヶ月以内に注意しなければならない副作用があります。それは咽頭痛と38度以上の高熱をともなう症状です。症状があればすぐに受診してください。定期的に血液検査をしていればこの副作用が出る前に発見できることがありますが、急激に生じることもあるので覚えていおいてください。(無顆粒球症)

・ごくごく稀ではありますが、血尿が出ることがあります。もしあればすぐに受診してください。これは、長く服用していても生じることがあります。(血管炎)→主にプロピルチオウラシルにて生じやすい

・お薬を服用すると口内が苦くなることがあります。これはプロピルチオウラシルの成分が血液を通って唾液から分泌されるためです。そのため、オブラートで服用しても苦味を消すことはできません。ただ、苦味はその程度が日によって異なることもあります。苦味が原因でお薬を断念する方はほぼいませんが、辛いようならば相談してください。

・お薬を開始すると、全身のかゆみを生じることがあります。
これは、甲状腺のお薬で生じやすい副作用の1つです。多くはかゆみ止めを服用することでコントロールできます。ただ、場合によっては薬を中止することがありますので、症状が出たらすぐに病院を受診してください。自己判断で休薬して治療を中断することは避けてください。

・お薬を開始すると、急に関節が痛くなることやこむら返りを生じることがあります。
これは、お薬が急激に効いて甲状腺ホルモンが急に下がることで生じます。お薬量の調節が必要かもしれませんので、症状が出たら受診してください。

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