服薬指導

【重要】薬剤師の服薬指導「患者さんが返答しやすい質問の仕方!!」


こんにちは。 マサです。
 
若い薬剤師の服薬指導を聞いていて思うことがあります。
それは、患者さんへの質問が直線的過ぎることです。
どういうことかといいますと、クッション言葉や枕詞、理由付けなどがないということです。
 
考えてみてください。

あなたは、家族や友人でもない知らない方から急に「体重は何キロですか?」
と聞かれて、何の抵抗もなく素直に返答しますか?  しませんよね。
むしろ、仲の良い友人でも正直に返答しないかもしれません。

患者さんも同様です。他人である薬剤師から急に「体重は何キロですか?」と質問されて、薬剤師だから正直に返答する、という患者さんがどれだけいるでしょうか?

 

患者さんが返答しやすい質問の仕方

大切なことは「なぜその質問をするのか」その理由を明確にして質問するということです。
要するに、理由づけが大切
私の場合は、既に同じ薬局に10年勤務しているので、多くの患者さんが私のことをわかってくださいます。
私が急に「今日の体重は何キロでしたか?」と聞いても返答してくれます。信頼関係ができているからだと思います。

信頼関係ができていない患者さんには、必ず理由づけをします。
 

体重を確認するとき

・今の体重が適正かどうかを知るBMIという考え方があります。それを計算したいので、現在の体重を教えていただけますか?

・最近の薬は腎機能の状態によって、量を調節する薬が増えています。その計算のために体重を知りたいので、今日の体重を教えていただけますか?
(同時にクレアチン値も確認します。多くは血液検査の結果を持っている時か、検査をした時の聞き方です。)

・今の体重の5%の体重を減らすと、血圧や脂質、血糖値が改善すると言われています。何キロ減らせば良いかを計算するために、今の体重を教えていただけますか?
 

身長を確認するとき

・今の体重が適正かどうかを知るBMIという考え方があります。それを計算したいので、現在の身長を教えていただけますか?

・歳を重ねると、骨と骨の間隔が狭くなることで身長が小さくなりますが、今の身長はどれくらいですか?

・私の薬局は、出入り口にビニールテープを貼っており、患者さんが入って来たときや帰るときに身長を確認できるようにしています。この方法であれば、ふだん会話が少ない患者さんや、1回の服薬指導で1個しか確認できない時でも、体重だけを確認すれば身長は質問しなくても済みます。
 

血圧を確認するとき

・気温が下がってくると血圧が高くなりやすいと言われています。今日の血圧はいくつでしたか? 

・気温が上がってくると血圧が下がりやすいと言われています。今日の血圧はいくつでしたか?

・今日はとても冷え込みました。こういう日は血圧が高くなりやすいですが、今日の血圧はいくつでしたか?

・病院で血圧が高くても自宅での血圧が良ければ薬を追加せずに済むことがあります。今日の血圧はいくつでしたか?(自宅での血圧はいくつでしたか?)

・病院での血圧が丁度良くても、自宅での血圧が低ければ薬を減らしたり弱くしたりすることがあります。今日の血圧はいくつでしたか?(自宅での血圧はいくつでしたか?)

・一般的に病院で測る血圧は自宅で測る血圧よりも高くなると言われています。今日の自宅もしくは病院の血圧はどうでしたか?

・(収縮期)血圧が160以上になると、合併症のリスクが大きくなると言われています。ただ、自覚症状が出やすいのは(収縮期)血圧が180以上と言われています。最近の血圧はどれくらいですか?
 

血糖値を確認するとき

・できるだけ血糖値を下げることで合併症を生じるリスクが下がります。その中でもHbA1c:7%以上になるとリスクが上がり、8%以上になるとさらにリスクが上がります。目標はHbA1c:7%未満ですが、今日はどれくらいでしたか?(主に70歳未満の方への投薬です。末期腎不全患者さんやインスリン・SU薬を使用している患者さん、後期高齢者の患者さんは別です。)

・低血糖が出ない範囲でなるべく血糖値を下げることが、これ以上腎機能を悪くさせないために大切です。今日の血糖値はどうでしたか?(末期腎不全の方)

・年齢を重ねた方は、服用しているお薬によって目標とする血糖値が変わります。今の血糖値はどれくらいですか?(高齢者)
(図1)高齢者糖尿病の血糖コントロール目標(HbA1c値)
高齢者血糖コントロール目標値

・糖尿病の治療において大切なことは、低血糖を生じさせずに血糖値を下げることです。だいたいのHbA1cが分かると低血糖を生じやすい状態かどうかわかります。今日のHbA1cはどれくらいでしたか?
(私の経験上、HbA1c7.5%以上であれば低血糖を生じにくいと考えています。ただし、インスリン注射の方や血糖値の変動が大きな方は別です。)

・歯科で抜歯するときや、眼科にて白内障の手術をするときに、血糖値が高いと出血や手術後の感染症のリスクが高まりやすいです。今の血糖値を教えていただいても良いですか?
 

血液検査の結果を確認するとき

・最近のお薬は、肝臓や腎臓の数値を確認しながら服用することを勧めるものが増えています。検査結果があれば確認させていただけすか? また、健康診断や人間ドックを受けたら結果を確認させていただけますか?

・薬の効果や副作用の確認のために、血液検査の結果を確認したいので、結果が出たら確認させていただけますか? 主治医も確認していると思いますが、ダブルチェック(二重確認)していきたいです。

・歯科や整形外科、眼科、皮膚科などで、急にお薬が追加になったとき、そのお薬を服用して良いかどうかを確認します。その時に血液検査の結果があると安心できるので、検査結果があれば確認させていただけますか?

・お薬を服用している方は、年に1回から数回の血液検査をして、状態確認や副作用確認を行いますが、年に何回くらい血液検査をしますか? もし結果が出たら確認させていただけますか?
 

食事時間を確認するとき

・食事時間が決まると薬の服用時間が決まります。食事時間を教えていただいても良いですか?

・お薬によっては等間隔で服用する必要があります。食事時間を教えていただいても良いですか?

・夕食から寝るまでが3時間以上空かないと、体重が増えやすくなったり消化不良になったり、体にとって嬉しくないことがあります。普段の食事時間を教えていただいても良いですか?
 

睡眠時間を確認するとき

・日本人は睡眠時間の短い方が多いですが、普段から何時間くらいの睡眠時間ですか?(就寝時間と起床時間も確認します。)

・海外の実験では、睡眠時間が5時間未満の方は体重が増えやすいという結果があります。体への負担を考えても1日6時間以上の睡眠をオススメしますが、普段は何時間くらいの睡眠時間ですか?

・日本人は睡眠時間が6−7時間程度の方が多いですが、普段は何時間くらいの睡眠時間ですか?
 

お酒やタバコを確認するとき

(お酒やタバコは直接的に聞いても良いと思います)

・普段からお酒は飲みますか?

・お酒を飲むと睡眠が浅くなると言われていますが、普段からお酒を飲みますか?

・お酒は寝つきを良くしてくれますが、睡眠を浅くするので熟睡しにくくなります。普段からお酒を飲みますか?

・決まった量以上にお酒を飲むと、血圧や血糖値、中性脂肪を上げやすくなりますが、普段からお酒を飲みますか? 飲むならばどういった種類のお酒をどれくらい飲みますか?

・逆流性食道炎の治りを遅らせたり、悪化させたりする要因にお酒があります。普段からお酒を飲みますか?

・寝る前にお酒を飲んだり、お酒を飲んですぐに横になったりすると逆流性食道炎を引き起こしやすくなります。普段からお酒を飲みますか?

・休肝日はありますか?

・タバコを吸うことや周囲にタバコを吸っている方がいて、副流煙がありますか?

・タバコを吸ったり副流煙があったりすると血管が硬くなりやすいですが、喫煙や副流煙がありますか?

・タバコを吸ったり副流煙があったりすると血管が硬くなりやすく、冷えに繋がりやすいですが、喫煙や副流煙がありますか?

-服薬指導

© 2023 夫婦薬剤師