こんにちは。 マサです。
調剤薬局にて薬剤師として働いています。
『服薬指導がうまくいかない』
『患者さんに服薬指導を聞いてもらえない』
『患者さんの役に立つ服薬指導ができているか不安』
というあなたに送ります。
服薬指導において大事なことは「服薬指導してあげる」の気持ちです。
「服薬指導を聞いてもらう」はあなたのためです。患者さんのためではありません。
反対に、「服薬指導をしてあげる」は患者さんのためです。
あなたは薬剤師です。
患者さんよりもあなたの方が知識があります。
あなたが本気で患者さんのことを考えているならば、100%の自信を持って患者さんのためになる服薬指導を本気で行えば良いのです。
それが患者さんのためです。
今回は『営業マンは「お願い」するな! 著:加賀田 晃』を読んで学んだことをご紹介します。
この本を読んだ時、私は服薬指導という道が明るく照らされた気がしました。
その理由をご紹介します。
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・『服薬指導をしてあげる』の意味
・気づきを与える服薬指導
・挨拶・自己紹介
・患者さんを幸せにする
・「必要性」を伝える服薬指導
・「意味」を伝える服薬指導
・熱く話す
・患者さんの抵抗に対する服薬指導
・まとめ
『服薬指導をしてあげる』の意味
著者の加賀田さんは凄腕の営業マンで、現在は営業セミナーの講師をしているそうです。
どれほどの凄腕営業マンだったか御略歴を紹介します。
23歳から営業の世界に入り、初日からノーミスで契約をとり続けました。
不動産、学習図書など17社で営業を経験し、その全てでトップを記録しました。
契約率は驚異の99%を誇り、もっとも長い期間では、学習図書の飛び込み営業で約1年間契約率100%の記録を樹立しました。
そんな加賀田さんにとっての営業とは、
相手のために
断りきれない状態にして
売ってあげる
誘導の芸術である。
あなたは
それとも、「服薬指導をしてあげる」と考えていますか?
この本を読むまで私は「服薬指導を聞いてもらいたい」と考えていました。
しかし最初にも書きましたが、
「服薬指導を聞いてもらう」はあなたのためです。患者さんのためではありません。
反対に、「服薬指導をしてあげる」は患者さんのためです。
大きな違いがありますね。
薬剤師ならば「服薬指導をしてあげる」と考える必要があります。
気づきを与える服薬指導
患者さんに質問して、メリットに「気づかせてあげる」のです。
例えば、主治医から高血圧の薬をオススメされたが断ってしまった患者さん





血圧が高い方とそうでない方とでは、認知症になるリスクが3倍違うと言われています。
あなたの将来を考えた場合、血圧の薬を服用した方がいいのか、服用しない方がいいのか、どちらがいいなあ〜と思いますでしょうか?
挨拶、自己紹介
初めて会う人に必ず自己紹介をしますよね?
服薬指導も同じです。初めて服薬指導する患者さんに「薬剤師の〇〇です。」と必ず名乗りましょう。
また、知人とあった時は「こんにちは。」、会社の人とあった時は「お疲れ様です。」と挨拶しますよね?
患者さんにも「おはようございます。」「こんにちは。」と必ず挨拶しましょう。
清潔感のある格好をして、明るい笑顔、元気のある声で挨拶し、礼儀正しくおじぎをしましょう。
感じの良い人になるだけで、患者さんに受け入れてもらいやすくなります。
私の服薬指導
服薬指導の最初に、「おはようございます。」と必ず挨拶します。
そして、その時は意識して笑顔をつくります。
服薬指導が終わって患者さんが薬局から出るまで患者さんの後ろ姿を見ます。
患者さんとの服薬指導を終えた時と薬局から出る時におじぎをします。
そういった姿を他の患者さんも見ています。
次の患者さんに良い印象を与えることができます。
そして、自分がされて心地よいと思うことしましょう。
私が決めていること
あなたの薬局には横柄な態度を取る患者さんはいませんか?
こちらが失礼なことをしてしまい、そうなってしまったのかもしれませんが、そうでない方もいます。
薬局で横柄な態度を取る患者さんがスーパーのレジやホテルの従業員として、愛想良く接客している姿を見たことはあります。
私はその患者さんに接客してもらわないように決めています。
なぜならその方は仕事においてはプロとしての振る舞いかもしれませんが、薬局で横柄な態度をとるその人を信用できないからです。
あなたも薬局で明るく、笑顔で、元気があるように振る舞っていても、外での姿を患者さんに見られているかもしれません。
日頃から自分の振る舞いを意識することがとても大切です。
患者さんを幸せにする
人は自分を幸せにしてくれる相手に対して抵抗ができません。
患者さんを幸せにすればこちらの話を好意をもって聞いてくれるようになります。
答えにくい質問にも答えてくれるようになります。
患者さんを幸せにするために聞き上手になる
「話し上手は聞き上手」という言葉があります。
著者は、
と言っています。
患者さんが不安に思っていること、聞きたいことが何かを考えましょう。
服薬指導の最初に

と質問しましょう。
聞き上手になって、患者さんとの人間関係をしっかり築くことが、患者さんが満足する服薬指導に必要な条件です。
「必要性」を伝える服薬指導
高血圧の薬が処方された患者さんに服薬指導することを想定してください。
高血圧の薬を服用する「必要性」を指導します。

心臓疾患、脳疾患、腎臓疾患などのリスクも増えると言われています。
あなたが80歳、90歳になった時に認知症になっていたり、心筋梗塞や脳梗塞で多くの薬を服用していたたり、手術をしたり、透析になって1日おきに病院を受診したりする生活と、お薬を服用することで今と同じ生活を送れるのであれば、どちらがいいなあ〜と思いますでしょうか?

「意味」を伝える服薬指導
・Ca拮抗薬が処方された場合

血圧の薬の中には、腎臓の負担を減らすことや心臓疾患などの合併症に効果が期待できる薬もあります。
しかしそういった付加価値は、血圧をしっかり下げた次に期待するものです。
その点、今回のお薬はもっとも効果的に血圧を下げる薬です。
・ARBが処方された場合

血圧が高いと腎臓負担が大きくなります。その点、このお薬はもっとも腎臓負担を減らしてくれるお薬です。
それによって透析になるリスクを軽減してくれます。

透析になってしまうもっとも大きな原因に糖尿病があります。
〇〇さんは糖尿病をお持ちです。
将来の透析を予防するためにも、今回のお薬を使用して血圧管理だけでなく腎臓の保護も目指します。
熱く話す
「本気で患者さんの体を心配しています」という態度を前面に出して話します。

大切な家族です。予防できるかもしれない合併症のリスクを取ることを絶対にオススメしません。
と熱く真剣に伝えます。
熱く話せば患者さんも真剣に話を聞いてくれます。
患者さんの抵抗に対する服薬指導
薬を服用したくない
服用することを前提に、二者択一で誘導する

急いでいる(忙しい)
患者さんの中には「急いでいる(忙しい)から説明はいらないから早く薬を渡して」という患者さんがいます。
そう言った時の対処法は

と切り返します。
本当に時間のない患者さんには患者フォローとして電話すれば良いです。
しかしなかには自分に都合が悪くなって「急いでいる(忙しい)から」と言って、話を終わらせようとする患者さんがいます。
ここで考えて欲しいことは一つです。
あなたは薬剤師として誰のために指導しているのでしょうか?
目の前の患者さんのためですよね。
患者さんの気持ちは理解できますが、そこで話をやめてしまうことが患者さんのためになりません。
この本でいう「断りきれない状態にして教えてあげる」のです。
考えておく
患者さんに「お薬をキッチリ飲んでくれますか?」と質問した時に、「考えておく」と返答があった時は「服用しない」という意味です。
そんなときは

ただ、一応おたずねしますが、早く服用開始するのと遅く開始するのでは体にとってどちらかというと、どちらがいいなあ〜と思いますか?




〇〇さん服用しましょう。少しでも〇〇さんの健康を守りましょう。
副作用が心配
「薬には副作用があるから心配」という患者さんもいます。
そんな時は

〇〇さんが心配になる気持ちも十分に理解できます。
でも〇〇さん、薬の副作用はほとんどが想定できるものであり、軽い物がほとんどです。
服用を中止すれば副作用もなくなります。
それに、定期的な血液検査でも副作用を確認します。
しかし合併症が出てしまうと、より多くの薬を必要とするかもしれません。
今から薬を1つ追加するのと、あとから合併症が出て多くの薬を服用することになると、どちらかといえばどちらがいいなあ〜と思いますでしょうか?
さらに合併症が出てしまうと、損傷を受けた臓器が元の状態に戻らないこともあります。
お薬を処方した先生も、薬剤師である私も副作用を承知した上で服用をオススメしています。
ここでポイント
服用するとどうしても出てしまう副作用については、「出て当然」という態度で説明します。
サイアザイド系降圧薬の場合

むくみに効果があるということは、体の中の水分をおしっことして排出します。
そのためどうしてもトイレが近くなることがあります。
しかしこれは薬の効果が出ているだけなので、症状が出て当然と考えてください。
まとめ
『服薬指導をしてあげる』
「服薬指導を聞いてもらう」のはあなたのためです。患者さんのためではありません。
反対に、「服薬指導をしてあげる」は患者さんのためです。
「服薬指導をしてあげる」という気持ちが大切です。
気づきを与える服薬指導
患者さんが行動することで得られるメリットを気づかせてあげます。
高血圧の薬を服用したくない患者さんには、

と伝えます。
挨拶・自己紹介
初めて会う人に必ず自己紹介をしますよね?
服薬指導も同じです。
清潔感がある服装で、明るく元気よく、礼儀正しく接します。
患者さんを幸せにする
人は自分を幸せにしてくれる相手に対して抵抗ができません。
服薬指導によって患者さんを幸せにします。
「必要性」を伝える服薬指導
患者さんにとってなぜその薬が必要なのか、なぜその行動が必要なのかを伝えます。

「意味」を伝える服薬指導
Ca拮抗薬が処方された場合

血圧の薬の中には、腎臓の負担を減らすことや心臓疾患などの合併症に効果が期待できる薬もあります。
しかしそういった付加価値は、血圧をしっかり下げた次に期待するものです。
その点、今回のお薬はもっとも効果的に血圧を下げる薬です。
熱く話す
「本気で患者さんの体を心配しています」という態度を前面に出して話します。
熱く話せば患者さんも真剣に話を聞いてくれます。
参考図書
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