服薬指導

高齢者の『肺炎球菌ワクチン』の再接種は必要?結論:接種をオススメします


こんにちは。 マサです。

調剤薬局にて薬剤師として働いています。

患者さんから「肺炎球菌ワクチンを実施してから5年が経過します。再度受けた方が良いですか?」と質問されることがあります。
あなたは何と回答していますか?

一度しっかり調べてみようと思い、今回ブログにまとめました。
調べる際に活用したのは下記です。

肺炎球菌ワクチンの再接種をオススメします

マサ
5年経過したらすぐに再摂取すべきかどうかや2回目の摂取をすべきかどうか、日本では正式な指針がありません。

しかしながら、年齢を重ねることで免疫が低下することや持病が増えていくことを考えると、再接種する必要があるように思います。

摂取間隔を5年、6年、7年、それ以上とするのかは悩むところです。

呼吸器疾患や心臓疾患、免疫が低下する疾患の持病がある方は5年〜6年で再摂取するのが良いと思います。主治医の考えもあると思いますので、相談することをオススメします。

持病のない方でも、感染症をもらってきやすいお子さんと同居している場合や、お盆や年末年始などの大型連休などでお孫さんが帰省することがあるならば、接種することをオススメします。

肺炎球菌とは?

この菌は、主に気道の分泌物に含まれ、唾液などを通じて飛沫感染します。

日本人の約3~5%の高齢者では鼻や喉の奥に菌が常在しているとされます。

これらの菌が何らかのきっかけで進展することで、気管支炎、肺炎、敗血症などの重い合併症を引き起こすことがあります。

肺炎球菌ワクチンで、どれくらいの肺炎を防止できるの?

肺炎球菌には 93 種類の血清型があります。

平成26年10月からの定期接種で使用される「ニューモバックスNP(23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン)」は、そのうちの23種類の血清型に効果があります。

また、この23種類の血清型は成人の重症の肺炎球菌感染症の原因の64%を占めるという研究結果があります。

PPSV23の定期接種導入前の2011年9月から2014年8月の期間に国内でtest-negative designによって実施された多施設前向き研究において、65歳以上の高齢者における市中発症肺炎に対するPPSV23のワクチン効果が報告されました。

接種後5年以内のPPSV23接種のワクチン効果はすべての肺炎球菌性肺炎に対して27.4%ワクチン血清型の肺炎球菌性肺炎に対して33.5%であったとされています。

どういった人が接種した方が良いの?

65歳以上の方

60歳〜65歳で心臓、腎臓、呼吸器の機能に自己の身辺の日常生活活動が極度に制限される程度の障害やヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能に日常生活がほとんど不可能な程度の障害がある方。
厚生労働省ホームページより)

65歳になればすぐに実施した方が良いの?

呼吸器疾患、心臓疾患、腎臓疾患、糖尿病などを持っているハイリスク患者については実施を推奨します。

また、現在は65歳以上の人は5歳刻みで接種が可能ですが、今後は65歳のみが定期接種として認められ、それ以外は自主接種になると思います。

3回、4回と再接種しても良いの? 5年以内に再度接種すると何か生じる?

海外では2回以上の接種を推奨している国があります。

『「ニューモバックスNP(23価肺炎球菌莢膜ポリサッカライドワクチン)」を接種したことのある人が摂取後5年以内に再度接種した場合、注射部位の疼痛、紅斑、硬結等の副反応が、初回接種よりも頻度が高く、程度が強く発現するとの報告がありますので、接種歴を必ず確認して接種を受けてください。』とされています。

ある試験では、5年以上の間隔をとって2回目の摂取を行なった試験において、初回接種時よりも2回目接種時の方が副反応が多いと報告されています。

副反応は、注射部の「疼痛」、「発赤・腫脹」などの局所症状と、「頭痛」、「倦怠感」、「関節痛」、「筋肉痛」などの全身症状などです。

しかし、どれも軽度であり2週間以内に消失しています。

5年以上の間隔を空けた海外での試験では、3回目、4回目でも1回目と同程度の免疫の獲得が報告されています。

副反応の出現頻度は、2回目と3回目、4回目では有意差はないとされています。

もし5年以内に再接種した場合も同様な副反応が出ると予想されます。それが強く出るかどうかはわかりません。

海外での摂取状況

アメリカ:65歳未満で摂取し、5年以上経過して65歳を超えた段階で再接種を1回のみ認める

ドイツ:60歳以上の成人への標準ワクチンとしてはPPSV23の推奨。
6年以上の間隔で追加接種を繰り返しても良い。ハイリスク群では6年以上の間隔で接種を繰り返すべきであるとしている。

フランスハイリスク患者に肺炎球菌ワクチンを推奨しているが、65歳以上の成人にはとくに推奨はしていない。

カナダ65歳以上の成人にはPPSV23接種を推奨。

オーストラリア:65歳以上の成人にはPPSV23接種を推奨。50歳以上の先住民は摂取して5年後に再摂取を1回行う。ハイリスク群(慢性肺・心・肝疾患、糖尿病など)では5〜10年後に追加摂取を1回行う。

英国無脾、脾機能不全、慢性腎疾患患者では5年ごとに摂取を繰り返す。

子供の頃の肺炎球菌と何が違うの?

子供が使用する肺炎球菌ワクチンは13価(PCV13)です。
高齢者に使用する肺炎球菌ワクチン23価(PPSV23)です。

PCV13はPPSVよりも免疫効果が長く、抗体を作らせる能力も高いため、小児にはPCV13が使用されています。
小児は4回摂取します。

PCV13を高齢者に使用することもできます。
高齢者が一度PCV13を摂取すれば、再摂取する必要はありません。

2018年10月31日開催の第24回厚生科学審議会予防接種・ワクチン分科会予防接種基本方針部会において、PCV13の定期接種化の可能性について審議されました。
同部会ではPCV13を65歳以上の成人に対する定期接種に指定するメリットは少ないと結論されました。
そのため、日本ではPPSV23が推奨されています。

PCV13の定期接種化は見送られましたが、その接種が否定されたわけではありません。
そのため、65歳以上の成人に対し、PCV13を接種後に PPSV23接種(定期接種もしくは任意接種)を受ける連続接種スケジュールについても可能な選択肢とされています。

なお、日本で高齢者が自治体からの補助を受けらて接種できる肺炎球菌ワクチンは、PPSV23の初回接種のみです。

厚生労働省研究班「成人の侵襲性細菌感染症(IPD)サーベイランスの構築に関する研究」(2016〜18 年度)において、2013 年 4 月〜2018 年 3 月の期間に成人 IPD 原因菌 (n=1,277 株)の血清型分布が検討された 。
2013〜2015 年度における IPD 原因菌 の PCV13 と PPSV23 による血清型カバー率はそれぞれ 41〜48%, 65〜68%であった。
一方、2016〜2017 年度では PCV13 の血清型カバー率は 31%に低下したのに対し、 PPSV23 の血清型カバー率は 65%と変化がなかった。
全国から IPD 原因菌を収集して解析した Ubukata らの研究でも、PCV13 含有血清型による成人の IPD の割合は、 2010 年度の 74.1%から 2016 年度には 37.7%に減少していた。
一方、PPSV23 に含まれ PCV13 に含まれない血清型による成人 IPD の割合は、2010 年度の 12.4%から 徐々に増加し 2016 年度には 33.6%に達していた。

肺炎予防に必要なことは?

・手洗い
・うがい
・禁煙
・マスクの着用
・ワクチン接種
・十分な睡眠と栄養バランスの良い食事
 
誤嚥対策
・顎を引いて、よく噛んで少しずつ食べる
・食べ物に適度なとろみをつける
・食後2時間は座った姿勢を保つ
・毎食後、寝る前の口腔ケア(歯磨き、うがい)

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