こんにちは。 マサです。
調剤薬局で薬剤師をしています。
薬剤師歴約15年、現在の薬局には約10年勤務していますが、今まで一度も『服薬指導が面白くない』と感じたことがありません。
その理由を記事にしたいと思います。
服薬指導が楽しくない薬剤師へ
あなたは、なぜ服薬指導が楽しくないのですか?
『自分の知識がない』、『患者さんが話を聞いてくれない』、『会社(薬局)にやりたい服薬指導をさせてもらえない雰囲気がある』などさまざまな理由があると思います。
私の知識はまだまだ不足しています。なので毎日勉強します。私の薬局の患者さんの多くは話を聞いてくれますし、話をしてくれます。会社全体として、患者さんのためになる服薬指導を行っていこう、という雰囲気があります。
私は恵まれていると思います。
ですが、自然と患者さんが話をしてくれるようになったわけではありません。
もちろん素晴らしい患者さんは多いですが、『私が勉強して知識を増やしたこと』、『私が雰囲気づくりをしていること』、『患者さん教育をしたこと』など、努力した成果でもあると考えています。
服薬指導を意識しながら勉強
3人の患者さんに同じ内容の服薬指導をすることがあります。でも、マンネリ化とは違います。
3人の患者さんにその指導が必要だっただけです。
『考え方だけの問題では?』と思う方もいると思います。 確かにそうかもしれませんが、私の服薬指導の引き出しが増えているので、私の考え方だけではないと思います。
ではなぜ、服薬指導の引き出しが増えるのかを説明します。それは、服薬指導を意識しながら勉強するためです。
それだけ? と思う方もいると思います。でも、それだけです。
患者さんに服薬指導する時は、まず患者さんに確認を取って、それから指導すると思います。その確認の仕方(聞き方)も一緒に考えます。
例えば、『血圧測定の正しい姿勢が、椅子に座って背もたれに背中をもたれずにリラックスして測定する』と勉強し、それを患者さんの服薬指導に活かす場合です。
患者さんへの聞き方とその返答、服薬指導の方法を考えます。
・測定している(患者さん) → もし測定する時に床に直接座ったり、横になりながら測定していると、正しい数値ではないかもしれません。正しい姿勢は、病院で測るように、椅子に座ってリラックスした状態で測ることをオススメします。
・測定していない(患者さん) → 今後測定する時には、病院で測るように椅子に座ってリラックスした状態で測ることをオススメします。
2.自宅で血圧測定をする時は、どの様な姿勢で測りますか?(自宅で血圧測定をしていることがわかっている場合)
・椅子に座って(患者さん) → 正しい測り方になります。背中を背もたれに寄りかからず、リラックスして測定してください。
・あぐらの姿勢で床に座って(患者さん) → 股関節にて上半身と下半身の血流が悪くなります。病院で測るように、椅子に座ってリラックスした状態で測ることをオススメします。
・正座して(患者さん) → 下半身の血流が悪くなり、正確に測定できないかもしれません。病院で測るように、椅子に座ってリラックスした状態で測ることをオススメします。
3.血圧測定をする場所は決まっていますか?
・決まっていない(患者さん) → 病院で測るように、椅子に座ってリラックスした状態で測ることをオススメします。
・決まっている (患者さん)→ どのような場所で測りますか? 正しい姿勢は椅子に座って背もたれに背中をもたれずにリラックスした状態です。もし床や布団の中で測る場合は、姿勢を変えることをオススメします。
正しい血圧測定の姿勢を服薬指導しようと考えた時、7つのパターンを想定します。これで服薬指導の引き出しが増えます。この繰り返しです。
患者さんが話してくれる雰囲気づくりをする
患者さんがあまり話をしてくれないので、こういった指導をしにくい、と思った方もいると思います。
そういったお声をよく伺います。
私も勤務薬剤師だった頃、他の店舗に応援に行くと患者さんの対応の違いに戸惑うことがありました。
その時にはその理由が分かりませんでしたが、今はその理由がはっきり分かります。
それは、あなたは患者さんの方から話にのってくれることを期待していませんか?
あなたは、2週に1回や月に1回、2ヶ月に1回、3ヶ月に1回しか会わない方と親しく話しますか? 話す方もいると思います。ですが、自分の内面までを色々と話す方は少ないのではないでしょうか。
まずは、患者さんを『この薬剤師と話をしてみよう』という気持ちにさせることが大切です。そうすれば、患者さんが話にのってきてくれるのではないでしょうか。
具体的に考えます。
『私は話を聞きますよ』という姿勢を見せる
あなたは、一方的に話をする方の話を聞きたいと思いますか? あなたの話を聞いてくれる方と話をしたいと思いませんか?
まずは『患者さんの話を聞きますよ』という姿勢を見せます。
私は服薬指導の最初は、「暑かったですが、熱中症はなかったですか?」、「暑かったですが、元気に過ごせましたか?」とします。また、まだコミュニケーションが取れてない方には、さらに「何か困ったことや気になっていることはありますか?」と聞きます。なるべく患者さんが話しやすい状況を作ります。そこで話をしてくれない患者さんもいます。それはそれで構いません。『私は話を聞きますよ』という姿勢を見せることが大切です。
『オーバーリアクション』、『共感する』、『共感してから否定や指導をする』、『自分のことを隠さず話す』
患者さんの言ったことに『少しオーバーにリアクションを取る』、患者さんの意見を否定する時でも『まず共感してから否定をする』、仕事とはいえ患者さんのプライベートに踏み込むので『自分のことを隠さず話す』ことを徹底して行います。
例えば、朝の薬を服用したかしなかったか悩み、悩んだ時は服用しない患者さんがいます。
私はまず、「私も毎日薬を服用していますが、服用したかどうか悩むことがあります。」と共感します。次に「私は薬を服用したら、カレンダーに記入します。例えば、5日間キチキチ服用した場合、ヒートに開いている穴は5になりますので、カレンダーには5と書きます。もしヒートに空いている穴が7で、カレンダーに記入してある数字が昨日の6であれば、本日分を服用し忘れたけれど、カレンダーへの記入を忘れていることがわかります。 私のようなやり方をすれば飲み忘れや過剰服用を防止できます。やってみてはどうですか?」と指導します。
例えば、肩こりから頭痛を生じて辛い思いをしている患者さんがいます。話を聞いていると、寝ながらスマートフォンで動画を見ていることが原因とわかりました。その時に私はまず、「肩こりは辛いですよね(オーバーリアクション風に)。私も肩こりから頭痛を生じますので、辛いですよね。」と共感します。次に「寝ながらスマートフォンを見ていると、その時はわかりませんが、ものすごく筋肉を凝り固まらせています。今のような辛い思いをしないためにも、寝ながらのスマートフォンは止めませんか。」と指導します。
こういった少しの努力で、患者さんが私の話を聞いてくれやすくなると思います。
患者さん教育
最初から話をしてくれる患者さんは少ないです。こちらを伺っている患者さんが多いように思います。そこで諦めずに、一つひとつ確認して『薬局では色々と確認してから指導します』、ということを知ってもらうようにします。また、後ろで待っている患者さんがまだ薬局に来始めの患者さんであれば、その患者さんに伝わるように、目の前の患者さんに「体重はどうでした?」、「検査結果を確認させてください」と話をします。そうすることで、『自分だけではなく他の患者さんにも聞いているし、他の患者さんは薬剤師に伝えている』ということを知ってもらうようにします。
こういった努力の結果で、当薬局では体重も、検査結果も教えてくれる方が90%はいます。
時間はかかりますが、『患者さん教育』は大切です。
最後に
あなたがそういった服薬指導をしたいと考えても職場が許してくれないことがあると思います。
確認すべきことだけを聞いて、どんどん服薬指導することを求められることがあるかもしれません。もちろん、混雑時に一人の患者さんに10分、15分服薬指導することは許されないと思いますが、混雑していない時でも確認すべきことだけをするように求められる会社(薬局)であれば、異動や転職を考えても良いと思います。
会社(薬局)全体として患者さんのためになる服薬指導を実施していく、という雰囲気のある会社を選ぶことをオススメします。幸い、私が勤めている会社はそういう会社です。
転職を考えるならば、転職を決める前に下の記事をお読みください。無駄にならないと思います。
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