服薬指導

薬剤師の服薬指導『お薬手帳の持参率アップに向けて』


こんにちは。 マサです。

調剤薬局にて薬剤師をしています。

あなたは、患者さんにもっとお薬手帳を活用して欲しい、と思うことはありませんか?

私はありました。それから声かけを行って当薬局の手帳持参率は約95%です。ほとんどの方が持参してくれます。
何度説明しても絶対に活用しない患者さんはいます。それは仕方がないので、活用してくれなくても継続的に声かけをしていくしかないですね。

今回は患者さんのお薬手帳持参率アップのために当薬局にて取り組んでいることを紹介します。

お薬手帳持参率アップに向けて

あなたは服薬指導の時に、お薬手帳を活用しながら服薬指導をしていますか? また、手帳コメントを患者さんが読める大きな字で記入していますか?
なぜこれらが必要かと言いますと、患者さんに『薬局でお薬手帳を活用していますよ』と認識してもらうためです。

・お薬の変更有無にかかわらず、前回記載ページと今回記載ページを指差ししながら、「今日も30日分ですね」、「今日は60日分に変更となりましたね」、「今日はお薬が変更になりましたね」と声をかけます。

・お薬の変更があれば、変更になったお薬に赤色マジックでアンダーラインを引いて目立たせます。

・シールに印字された字は小さいため、患者さんが読めないことも多くあります。大きな字で記入して活用していることをアピールします。
(私は大きな字で手書きしています。読んでくれない患者さんもいますが、楽しみにしてくれる患者さんもいます。)

・確認した検査値を記入して、「この数値は他の薬局でも確認したいと思いますので、他の薬局に行った時に確認してもらってください」と伝えます。

 

そうは言っても、手帳を持ってきてくれない患者さんがいますね。
お薬手帳を持ってきてくれない患者さんには、お薬手帳の必要性を説明する必要があります。
既にあなたも実施していると思いますが、私が取り組んでいることを紹介します。

お薬手帳の必要性を説明する服薬指導

私が服薬指導でお伝えしている内容を以下に書きます

・お薬手帳は、他の病院で薬をもらう場合や、市販のお薬やサプリメント、健康食品を購入する際に、飲み合わせを確認するために使用します。自宅保管でなく、日頃から持ち歩いてください。

・お薬の組み合わせによっては、医療保険で認められない組み合わせがあります。もし飲み合わせの確認ができなかった場合、お薬代を自費請求されてしまうことがあります。(実際には薬局や処方医が負担することになると思いますが)

・お薬手帳を活用することで、受診間隔の確認が出ます。それによってお薬の余裕があるのかないのか想像ができます。

・大規模災害などで病院が機能しなくなって薬局だけ開局していた場合、お薬手帳を活用してお薬をもらうことができます。東日本大震災の時にはその対応が取られました。お薬をもらうためには、今現在服用している薬の証明が必要です。お薬の説明書(薬情)を活用することを考える患者さんもおりますが、その説明書が最新のものかどうか分かりません。日付が最近であっても、その後に薬が変更になっているか分かりません。経過がわかるお薬手帳が必要です。

・交通事故や急に倒れて意識を失った時に、救急隊員がお薬手帳を確認してアレルギーや副作用歴、服用薬などの情報を搬送先の病院に連絡をしてくれることがあります。そうすることで速やかな対応が取れる可能性が高まります。

・重大な副作用を生じて入院になった際、国から給付をもらうためにも必要です。(副作用被害救済制度)

・お薬手帳をバッグに入れる時には、お財布の横に入れてください。バッグを変える時にお財布を入れ替えると思います。その時に手帳の入れ替えを忘れない様にするためです。

 

お薬手帳の保管方法を確認

その他、お薬手帳をどの様に保管しているか確認していますか?
お薬手帳は自宅保管ではなく持ち歩くことが大切です。
なぜなら、

・持参率・活用率の向上につながる
・自宅で災害にあった時に、すぐに保管場所から持ち出しますか?
・自宅で交通事故にあいますか?
・旅行先で事故にあった時や急遽病院にかかる時に、一度帰宅しますか?
・調子を崩した時に、急に病院受診となることはありませんか?

いかがでしょうか?

この辺りを指導しても活用してくれないのであれば、仕方ないですね。根気強く指導していきましょう。

お薬手帳は国が国民に持ってほしいと考えているもの、という認識がありますか?

国はお薬手帳を活用して、重複投薬・残薬の解消・患者と薬剤師の関係の緊密化、かかりつけ薬剤師に対する患者の理解の向上等を図っています。
直接医療費削減につながるのは重複投薬の防止、残薬の解消です。保険診療を受けることを希望するのであれば、お薬手帳を持ち歩くのが国民の義務である様に思います。

患者さんがお薬手帳を活用していなくても『薬剤服用歴管理指導料』を算定して良い

「お薬手帳を活用しないので『薬剤服用歴管理指導料』を算定しないで欲しい」という患者さんの要望は筋違いという認識がありますか?
薬剤師が『薬剤服用歴管理指導料』を算定するためには、お薬手帳の活用や指導が必要です。もちろん薬剤師自らがこれを怠った場合は算定できません。ですが、患者さんが勝手に拒否している場合は薬剤師に責任がありません。なので、手帳に関する以外の指導を行なっていれば『薬剤服用歴管理指導料』を算定できます。むしろ、算定しなければサービス行為に当たりますので、算定しなければなりません。

電子お薬手帳のメリット・デメリット

メリット
・普段から持ち歩くスマートフォンに記録が残るので、手帳忘れになる可能性が低い
・手帳を持ち歩く必要がないので、バッグが軽くなる
・若い方の活用につながる
・古い記録も残すことができる
デメリット
・スマートフォンが電池切れになると使用できない(災害時に心配)
・スマートフォンにロックがかかっていると、意識を失った時に使用できない可能性がある
・まだまだ電子お薬手帳の普及率が低いため、スマートフォンにロックがかかっていなくても、意識を失った時に周囲の人が活用してくれるかわからない

手帳活用について私が思う2つのこと

1つ目
何箇所かの病院を受診している患者さんのお薬手帳が新しくなった時に、「しばらくは古い手帳も一緒に持ち歩いてください」と指導している薬剤師が少ないことです。
新しい手帳しかなければ、新しい手帳に記載のある薬しか使用していないことになりますよね? 災害時や意識を失った時に困りますよね?
ここでいう『しばらく』がどれくらいの期間なのか、ですが、電子お薬手帳の活用が始まった時に、『少なくても1年分は過去の履歴が欲しい』という文言があったと思います。それを考えると1年間は古い手帳を持ち歩くことが理想です。しかし、それは現実的でないように思いますので、少なくても2回分の記載があるまでは一緒に持ち歩くことが必要と思います(90日処方の方は半年間)。私の薬局では30日処方が多いので、4ヶ月分の記載が終わるまでは古い手帳と一緒に持ち歩く様に指導しています。

2つ目
手帳にアレルギー歴や副作用歴、現病・既往歴などを記載していますか?

「手帳」とは、経緯的に薬剤の記録が記入でき、かつ次の①から④までに掲げる事項を記録する欄がある薬剤の記録用の手帳をいう。
① 患者の氏名、生年月日、連絡先等患者に関する記録
② 患者のアレルギー歴、副作用歴等薬物療法の基礎となる記録
③ 患者の主な既往歴等疾患に関する記録
④ 患者が日常的に利用する保険薬局の名称、保険薬局又は保険薬剤師の連絡先等
手帳の当該欄については、保険薬局において適切に記載されていることを確認するとともに、記載されていない場合には、患者に聴取の上記入するか、患者本人による記入を指導するなどして、手帳が有効に活用される様に努める。

と定められています。
私の薬局では、手帳更新時に転記しています。記入することが多くて転記が大変な時は、コピーして新しい手帳に貼ります。
こういったやるべきことをしないと患者さんも手帳を活用してくれませんね。

すぐに始めましょう。

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