お薬について

【重要】選択的COX-2阻害薬以外のNSAIDsも心臓負担に注意!!


こんにちは。 マサです。

調剤薬局にて薬剤師として働いています。

2020年に消化性潰瘍ガイドラインが改定されたので、確認していたら気になることがありました。
それは、「セレコキシブ+PPI群とナプロキセン+PPI群に分けて上部消化管出血の再発を比較したRCTにおいて、前者の方が有意に低く心血管イベントの発生に差を認めなかった」という記載です。(引用元:2017年4月11日号のLancet誌オンライン版 上部消化管出血リスク、セレコキシブ vs.ナプロキセン)
私は「ナプロキセン+PPI群の方が心血管イベントの発生が低い」と考えていたので、少し調べてみることにしました。
今日はそのことを記事にしたいと思います。

 

選択的COX-2阻害薬以外のNSAIDsも心臓負担に注意

結論
選択的COX-2阻害薬でなくても心臓負担があります。むしろ、日本で発売されている選択的COX-2阻害薬であるセレコキシブは、他のNSAIDsよりも心臓負担が少ないデータが数多くあります。
我々薬剤師は、選択的COX-2阻害薬でなくても十分に心臓負担を考慮すべきです。

添付文書上はセレコキシブ以外は禁忌の項目に「重篤な心機能不全のある患者」としか記載がありません。
セレコキシブは警告の項目に「・・・心筋梗塞、脳卒中等の重篤で場合によっては致命的な心血管系血栓塞栓性事象のリスクを増大させる可能性があり・・・」とあります。
 

2011年1月15日号のBMJ誌

Cardiovascular safety of non-steroidal anti-inflammatory drugs: network meta-analysis.

主要転機は心筋梗塞、副次転機は脳卒中、心血管系疾患による死亡、全死因など
31試験、患者11万6,429例、追跡11万5,000人/年
使用薬剤:ナプロキセン、イブプロフェン、ジクロフェナク、セレコキシブ、etorikoxib(日本未発売)、rofecoxib(日本未発売)、lumiracoxib(日本未発売)、プラセボ
結果
プラセボ比較で心筋梗塞との関連性が最も高かったのはrofecoxibでプラセボ比2.12、95%信頼区間:1.26-3.56、次いでlumiracoxibブでプラセボ比2.00、95%信頼区間:0.71-6.21

心血管系による死亡については、プラセボ比較で最も関連性が高かったのはetorikoxibでプラセボ比4.07、95%信頼区間:1.23-15.7、次にジクロフェナクでプラセボ比3.98、95%信頼区間:1.48-12.7

この文献の結論は、「確定ではないが、調査を行ったNSAIDsについて心血管系に対する安全性を示すエビデンスはほとんどなかった。ナプロキセンの有害性は最も少ないようであった。どんなNSAIDsの処方を書く時も心血管リスクを考慮する必要がある」となっています。

2016年9月28日号のBMJ誌

Non-steroidal anti-inflammatory drugs and risk of heart failure in four European countries: nested case-control study.

研究グループは、オランダ、イタリア、ドイツ、イギリスの4カ国5つの医療データベースを基に、2000年ー2010年にかけてNSAIDsの服用を開始した18歳以上について、コホート内ケース・コントロール試験を行なった。
心不全入院した人は9万2,163例で、年齢や性別などをマッチングしたコントロールは824万6,403例だった。
結果:従来型NSAIDs7種(ジクロフェナク、イブプロフェン、インドメタシン、ketorolac、ナプロキセン、nimesulide、ピロキシカム)とCOX-2阻害薬2種(etorikoxib、rofecoxib)を服用中の人は、過去に服用した人に比べ、心不全による入院リスクが有意に増大した。

結果
オッズ比(95%信頼区間)
インドメタシン 1.51(1.33-1.71)
スリンダク   1.32(0.79-2.21)
ピロキシカム  1.27(1.19-1.35)
ジクロフェナク 1.19(1.15-1.24)
イブプロフェン 1.18(1.12-1.23)
ナプロキセン  1.16(1.07-1.27)
ケトプロフェン 1.06(0.80-1.41)
メロキシカム  1.02(0.94-1.11)
フルルビプロフェン 0.97(0.68-1.40)
セレコキシブ    0.96(0.90-1.02)
エトドラク     0.87(0.63-1.19)

2017年4月11日号のLancet誌オンライン版

Gastrointestinal safety of celecoxib versus naproxen in patients with cardiothrombotic diseases and arthritis after upper gastrointestinal bleeding (CONCERN): an industry-independent, double-blind, double-dummy, randomised trial.
 
上部消化管出血歴があり、心血管イベントがあって低用量アスピリンを服用している514人の患者を登録し、セレコキシブ200mg+エソメプラゾール20mg群とナプロキセン500mg+エソメプラゾール20mg群に257人ずつ無作為に割り当てし、18ヶ月後の上部消化管出血の再発率を比較した。

結果
再発性出血の累積発生率
セレコキシブ群で5.6%(95%信頼区間:3.3-9.2)
ナプロキセン群で12.3%(95%信頼区間:8.8-17.1)

2017年5月9日号のBMJ誌

Risk of acute myocardial infarction with NSAIDs in real world use: bayesian meta-analysis of individual patient data.
カナダとイギリス、フィンランドのデータベースを活用している。
アウトカムは急性心筋梗塞での入院日
使用薬剤:選択的COX-2阻害薬(セレコキシブ、rofecoxib)、従来NSAIDs(ジクロフェナク、イブプロフェン、ナプロキセン)

結果(心筋梗塞リスクの増加率)
補正オッズ比(95%信頼区間)
セレコキシブ 1.24(0.91-1.82)
ジクロフェナク 1.48(1.00-2.26)
イブプロフェン 1.50(1.06-2.04)
ナプロキセン 1.58(1.07-2.17)

服薬指導

急性服用時(14日以内)

・痛み止めを服用してから、胸が苦しくなったり息苦しくなったりするようなことがあれば、すぐに連絡をください。恐怖を感じる、「これはまずい」と思うことがあれば救急車を呼んでください。
とても稀に心臓に負担をかけることがあります。

慢性服用時(30日処方)

・痛み止めの服用開始1ヶ月以内に、とても稀に心臓に負担をかけることでの息苦しさや胸の痛みを生じることがあります。「これはまずい」と思うような場合は、すぐに受診するか救急車を呼んでください。
これは服用開始1ヶ月以内に生じることがほとんどです。

 

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