こんにちは。 マサです。
調剤薬局にて薬剤師として働いています。
今回は骨粗鬆症についてのブログです。
先日患者さんから質問を受けました。質問内容は「今の薬の効果は出ているの? お薬を中止できるの?」です。
よく受け付ける質問だと思います。
あなたは何と返答しますか?(患者さん情報)
今回は骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015を参照にしています。
骨粗鬆症の服薬指導
WHOによる骨粗鬆症の定義
骨密度の測定部位
骨粗鬆症の自然経過はどのように進むか
骨粗鬆症は生命予後に影響を及ぼすか
骨粗鬆症の診断手順
薬物治療の基本的考え
骨吸収抑制薬の治療の効果と評価
まとめ
骨粗鬆症の服薬指導

お薬を中止すると今より骨密度が下がると思います。
骨密度が下がってしまうと、転倒した時に骨折するリスクが高まります。
お薬によって100%骨折リスクを減らすことはできません。しかし、もし転倒して骨折してしまうと、骨折したことによる骨格変形や痛みの継続などによって、好きなハイキングを再開しにくくなってしまうかもしれません。
このまま継続することをオススメします。

服用開始前の数値が分からないので正確なことはお伝えできませんが、血液検査の『total P1NP』という項目は骨が活発に作られているかどうかを示しています。
数値が高いということは、骨がもろくなっているので、体が骨を作ろうとしています。
今年の6月よりも今回の数値は低下しています。また、数値も基準値内を維持しています。
薬の効果によって、体が今の骨の代謝で良いと考えていると思います。
WHOによる骨粗鬆症の定義
骨粗鬆症は、低骨量と骨組織の微細構造の異常を特徴とし、骨の脆弱性が増大し、骨折の危険性が増大する疾患である。
骨密度の測定部位
日本では原則的に腰椎骨密度だが、国際的には大腿骨近位部骨密度が汎用される。
腰椎変形などで腰椎骨密度の測定が適当でないと判断される場合には、大腿骨近位部骨密度とする。
骨粗鬆症の自然経過はどのように進むか
出生児の骨は体重の1 / 100の約30g。その後学童期から思春期にかけて形態学的成長とともに、骨量が増加する。20歳前後でほぼその最大値を示すようになるとされている。
その後骨量は比較的安定しているが、女性は閉経に伴うエストロゲンの急激な減少によって、閉経後10年ほどの間に骨量が急激に減少し、骨量減少あるいは骨粗鬆症と判断される程度に進行することになる。
その減少を腰椎骨密度で表すと、20〜44歳を100%として、45〜49歳で約98%、50〜54歳で90〜92%、55〜59歳で82〜83%と激減していくことが報告されている。
また、骨量以外の骨強度規定因子についても、骨のコラーゲン含有量は30〜40歳代をピークとしてその後減少することが知られている。
骨粗鬆症は生命予後に影響を及ぼすか
大腿骨近位部骨折は単に移動能力や生活機能を低下させるだけではなく、死亡率を上昇させると言われている。
骨粗鬆症の診断手順
①身体診察(身長、体重、BMI、脊柱や腰背痛の有無)
↓
②画像診断(レントゲンなど)
↓
③血液・尿検査
↓
④骨評価(骨密度、脊椎X線)
↓
⑤問診(病歴、使用薬物、生活習慣、家族歴、続発性骨粗鬆症の有無と既往歴)
↓
⑥鑑別診断 → 続発性骨粗鬆症、低骨量をきたす他の疾患
↓
⑦脆弱性骨折の有無
脆弱性骨折あり
・「大腿骨近位部骨折」または「椎体骨折」あり→原発性骨粗鬆症
・「大腿骨近位部」または「椎体骨折」以外の脆弱性骨折あり、骨密度がYAMの80%未満→原発性骨粗鬆症
脆弱性骨折なし
・骨密度がYAMの70%以下または-2.5SD以下→原発性骨粗鬆症
・骨密度がYAMの-2.5SDより大きく-1.0SD未満→骨量減少
薬物治療の基本的考え
多くの骨粗鬆症薬が開発されている。その中で多く使用されている薬がビスホスホネート薬やSERMなどの骨吸収抑制薬。
これらの薬は、あくまで骨強度低下が進行することによる増加する骨折リスクを部分的に抑制しているだけ。
そして、転倒頻度が増えた患者さんや母親の骨折歴など、骨強度との直接の関連性が明らかでない骨折の危険因子を持った例では、骨吸収抑制薬は骨折抑制効果を発揮しない。
ガイドラインでは、
とされている。
骨吸収抑制薬の治療の効果と評価
効果
多くの薬剤の効果は可逆的。
服用を中止すれば治療開始前の状態に戻るとされている。さらに、中止することで急激な骨量減少が起こるかもしれないので、注意して経過観察する必要がある。
評価
ガイドラインでは、
また、同薬による治療に際して、骨形成マーカーは骨吸収抑制に応じた二次的変化を反映し骨吸収マーカー低下に3ヶ月程度遅れて低下すると考えられる。そのため、同薬による治療開始6ヶ月〜1年後の骨形成マーカーが基準値内に収まらない場合には治療内容の変更を考慮し、長期投与によって骨代謝マーカーの基準範囲下限以下に過剰抑制されている場合には、休薬や中止などの薬物調節を考慮する。」
とされている。
まとめ
・骨粗鬆症は、それにより骨折することで死亡率を高めたり、QOLを低下させたりする可能性が高い疾患
・診断基準は脆弱性骨折の有無によってかわる
・骨粗鬆症の薬物治療は、骨折リスクを3〜5割低下させることであり、予防も含めた対応が必要
・治療効果の判定には、骨密度だけでなく、骨吸収マーカー、骨形成マーカーなどを考慮する