服薬指導

薬剤師の服薬指導『風疹ワクチン接種を悩む不妊治療中の女性』


こんにちは。 マサです。

調剤薬局にて薬剤師をしています。

先日、妊娠を希望されている患者さんが来局され、「妊娠を希望しているけれど風疹の抗体価が8倍だったから風疹ワクチン接種を勧められた。でも、ワクチンを接種したら3ヶ月は避妊期間が必要と言われてしまった。そんなに待たなければいけないなら、ワクチンをせずに妊娠することも考えてしまう。」と悩んでいました。

あなたは薬剤師として患者さんとどんなお話をしますか?

目次
・風疹の予防接種を受けるかどうか悩む妊娠希望女性
・風疹とは
・風疹の感染力
・風疹に罹患した時の問題
・風疹に対する免疫の有無を確認する方法(抗体検査)
・風疹ワクチンによる免疫獲得率
・風疹含有ワクチンを受けることができない方
・妊娠していることを知らずに風疹含有ワクチンを受けた場合
・風疹含有ワクチンを受けた場合の避妊期間
・妊娠中に抗体価が低いと判明した場合

 

疹の予防接種を受けるかどうか悩む妊娠希望女性

 

患者さん情報
35歳女性、子供なし、不妊治療中、甲状腺疾患治療中(状態は安定)

私がした服薬指導:決断できなければ、最終的にはご主人に決断してもらう

「3ヶ月の避妊期間をどうしても考えてしまいますね。避妊期間に妊娠できる可能性もありますからね。とても悩むと思います。ご主人は何と言っていますか?(「理解はあって、どちらでも良いよ」と言ってくれています)それならば、あとで後悔しない決断が何かを考えたいですね。妊娠して風疹に罹患したときや近くに風疹に罹患した人ができたとき、避妊期間をもうけたことで妊娠が遅れたときのどちらが後悔しないかですね。そうはいってもどちらを選択するのも難しいですね。1つは妊娠してから生じる悩みで、もう一つは妊娠できるかどうかの悩みですからね。
どうしてもご自身で決断ができないときには、ご主人に決めてもらってください。 妊娠するとどうしてもいろいろなことが不安になりますし、もしワクチンを接種せずに妊娠したときに、決断が良かったのか不安になると思います。そのときに、言い方は悪いですがご主人のせいにできれば、少しは不安が和らぐと思います。理解あるご主人のようなので、お話ししてはどうでしょうか。」

この服薬指導が正しかったのかどうかわかりません。ですが、悩みを解決する糸口になってくださると嬉しいです。

帰宅後に妻に話したら、妻の考えは違いました。

妻がする服薬指導:いろいろな意見を聞いても、最終的には患者さん本人に決めてもらう

「1日でも早く妊娠したい方にとって、3ヶ月の避妊期間というのはとても長く感じますよね。悩まれるお気持ち、とてもよくわかります。ご自分では決められず、ご主人がどちらでも受け入れてくださるのであれば、医療従事者としてはワクチン接種をお勧めします。3ヶ月はとても長く感じると思いますが、その後は少なくとも風疹にかかるかもしれない不安が無くなります。ストレスが一つ減り、不妊治療にとってもプラスになるのではないでしょうか。どうせ3ヶ月は治療できないと割り切ってしまえば、妊娠してからはできないことを思いっきりやったり、楽しんだりすることもできます。妊娠しやすい体作りの期間としても使えるかもしれません。ただ、この選択に絶対の正解はありません。最終的に決めることができるのは患者さんご自身です。私たちはそのお手伝いはできます。気になることがあればどんどん聞いてください。可能な限りお答え、お調べします。その上でご主人と一緒にもう一度考えてみてはいかがでしょうか。」

(これはあくまで妊活をしている35歳女性という情報のみで考えた服薬指導です。年齢、治療期間、ホルモン値などにより多少回答は異なります。ですが基本的にはワクチン接種推奨派です。ちなみに私事ですが、不妊治療経験者です。)
 
 
あなたならどんな服薬指導をしますか?
 

風疹とは

風疹ウイルスによって引き起こされる急性の発疹性感染症です。

 

風疹の感染力

1人の風疹患者さんは5−7人に移すと言われており、非常に感染力が強いウイルスです。
 
その他の感染症の場合
・1人の麻疹患者さんは12−18人に移すと言われています。
・1人のおたふくかぜの患者さんは4−7人に移すと言われています。
・1人の季節性インフルエンザウイルス患者さんは2−3人に移すと言われています。

 

風疹に罹患した時の問題

成人で発症した場合、高熱や発疹が長く続いたり、関節痛を生じるなど、小児より重症化することがあります。また、脳炎や血小板減少性紫斑病を合併することもあります。
妊娠中20週頃までに感染すると、先天性風疹症候群の子供が生まれる可能性が高まります。
先天性風疹症候群の子供は、白内障や先天性心疾患、難聴等の障害をもって生まれます。先天性風疹症候群の子供が生まれる可能性は、妊娠1ヶ月で風疹に罹患した場合は50%以上、妊娠2ヶ月で罹患した場合は35%程度とされています。

 

風疹に対する免疫の有無を確認する方法(抗体検査)

多くの自治体で無料で受けることができます。居住地域の保健所に相談してください。
抗体価(HI法)
8倍未満   :免疫を保有していないため、風疹含有ワクチンの摂取を推奨します。
8倍−16倍:風疹の免疫はありますが、感染予防には不十分です。妊娠希望の方は風疹含有ワクチンの摂取を推奨します。
32倍以上 :感染予防に十分な免疫を保有しています。ワクチンの接種は必要ありません。

 

風疹ワクチンによる免疫獲得率

1回の予防接種で約95%の方が免疫を獲得します。また、2回目の予防接種を受けることにより、約99%の方が免疫を獲得します。
日本では子供の頃と合わせて合計2回の接種を勧めています。(海外では1回であることも多い)

 

風疹含有ワクチンを受けることができない方

・妊娠している女性および妊娠している可能性がある女性
・生ワクチン接種後27日以上経過していない方
・不活化ワクチン接種後6日以上経過していない方
・体温が37.5度以上の方
・ワクチンを受ける3ヶ月以内にガンマグロブリンの注射あるいは輸血を受けたことがある方(十分な免疫を確保できない)

 

妊娠していることを知らずに風疹含有ワクチンを受けた場合

主治医に相談してください。現在までのところ、風疹含有ワクチンにて先天性風疹症候群を発症した報告は世界的に見てもありません。

 

風疹含有ワクチンを受けた場合の避妊期間

女性:2ヶ月(海外では1ヶ月としている国もある)、男性:不要
妊娠していないことを確認するため、生理がきた時にワクチン摂取をします。そのため、生理がくるまでの避妊期間を考慮すると、実質3ヶ月間の避妊期間が必要になります。
 

 

妊娠中に抗体価が低いと判明した場合

妊娠してからのワクチン接種ができません。家族や頻繁に接する方にワクチン接種を受けてもらってください。また、不要不急の外出を控えてください。

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