こんにちは。 マサです。
今回はSGLT2阻害薬であるカナグリフロジンの下肢切断リスクについて記事にしたいと思います。
カナグリフロジンの下肢切断リスクはCANVAS試験がキッカケで話題になりました。
CANVAS試験では、カナグリフロジンはプラセボと比較して下肢切断リスクが約2倍になりました。(1000人年あたり6.3対3.4)
他のSGLT2阻害薬ではこのような報告がありませんでしたので、とても大きな衝撃を受けました。
本当にSGLT2阻害薬の中でカナグリフロジンだけが下肢切断リスクを増加させる?
おそらくSGLT2阻害薬全体に言えることだと思います。
2020年8月のBMJ誌に掲載された論文(対象薬はGLP-1)
アメリカでの3つの全国データベースによるコホート研究
試験目的:カナグリフロジンの下肢切断リスクを65歳未満で心血管疾患が有or無と65歳以上で心血管疾患が有or無の4つのグループに分けて検討しています。
結果:65歳以上で心血管疾患を有する群で有意差を持って下肢切断リスクが高くなっていました。
2018年10月のBMJ誌に掲載された論文(対象薬はGLP-1)
デンマークとスウェーデンにおける全国登録データベースによるコホート研究
試験目的:SGLT2阻害薬の重大な副作用について検討しています。
結果:下肢切断のリスクの増加(1000人年あたりの発生率2.7対1.1イベント、ハザード比2.32、95%信頼区間1.37〜3.91)というものでした。
使用されたSGLT2阻害薬の内訳は61%がダパグリフロジン、38%がエンパグリフロジン、1%がカナグリフロジンでした。
2019年4月のNEJM誌に掲載された論文:CREDENCE試験
試験目的:カナグリフロジンによる心・腎保護作用を検討した試験
結果:カナグリフロジンによる心・腎保護作用が示された
この試験結果において、下肢切断リスクがプラセボと比較して有意差がありませんでした。しかし、CANVAS試験を受けて全例で「受診時の下肢チェック」と「下肢切断リスク上昇可能性時の試験薬一時中止」が求められるようになりました。そのため、正確なデータかどうか分かりません。
服薬指導


足の切断リスクを下げるために必要なことは、定期的に足の確認をして傷や水虫、火傷などがないことを確認することです。
実際に、足の確認をしてリスクの高い患者さんには薬を控えた試験(CREDENCE試験)では、切断リスクが増えていません。