こんにちは。 マサです。
調剤薬局にて薬剤師として働いています。
知っている方にとっては当たり前ですが、今回は『75歳以上の高齢者に対するスタチン薬の心血管疾患の1次予防は?』を記事にしたいと思います。
目次
・75歳以上の高齢者に対するスタチン薬の心血管疾患の1次予防は?
・服薬指導
75歳以上の高齢者に対するスタチン薬の心血管疾患の1次予防は?
1次予防を示したエビデンスの高い論文は発表されていない
(今後変更となる可能性はあります)
RCTにて、Aという薬を使用した群が、プラセボを使用した群よりも死亡率が低ければ、それは「Aという薬が死亡率を下げる」と言えます。
しかしこれがRCTでなかった場合、「Aという薬が死亡率を下げる可能性がある」という、可能性の域をでません。
今のところ、RCTにより75歳以上の糖尿病でない高齢者に対しては、新規スタチン薬の投与が心血管疾患の1次予防につながるという試験結果が得られていません。
1次予防につながる可能性がある、という試験結果は得られています。
PROSPER試験
高齢の高コレステロール血症例を対象としたコレステロール低下療法のランダム化試験として知られています。
(Shepherd J, et al. Lancet. 2002;360:1623-1630.)
これは、75歳以上82歳未満の高齢者にプラバスタチンを使用し、冠動脈疾患死・非致死性心筋梗塞・全脳卒中をプラセボ群と比較して15%低下させました。
しかし同試験には、多くの心血管系の2次予防例が含まれており、1次予防だけを確認していません。さらに「82歳」という年齢上限も設けられています。
EWTOPIA75
日本での高LDLコレステロール(LDL-C)血症を有する高齢者を対象に、LDL-C低下療法による心血管疾患の1次予防を検討しています。
これは、スタチンではなくてエゼチニブにて行われています。
平均年齢は81歳、女性が74%を占めています。LDL-C平均値は約160mg/dL。90%近くが高血圧、約25%が糖尿病を合併し、15%強がメタボリックシンドロームを有していました。
これら3,796例は食事指導のみを行う「対照」群(1,898例)と、食事指導に加えエゼチミブ10mg/日を服用する「エゼチミブ」群(1,898例)にランダム化され、イベント判定者にのみ割付群が隠されるPROBE法で追跡されました。
1次評価項目である「心臓突然死・心筋梗塞・冠血行再建術、脳卒中」のハザード比(HR)は、エゼチミブ群で0.66(95%信頼区間[CI]:0.50~0.86)と、有意に低値となりました。
2次評価項目を見ると、エゼチミブ群で有意にリスクが減少していたのは、「心臓突然死・心筋梗塞・冠血行再建術」から成る「心イベント」でした(HR:0.60、95%CI:0.37~0.98)。脳血管障害(HR:0.78、95%CI:0.55~1.11)と総死亡(HR:1.09、95%CI:0.89~1.34)のリスクに、両群間で有意差はありませんでした。
二重盲検法の採用が難しいケースでは、アウトカム評価書のみを盲検化する方法です。
メリットは、二重盲検法よりも比較的コストを抑えることができ、プラセボ効果も含めて効果を検討できます。しかし、PROBE法は担当医師も患者もどちらの治療に割り付けられているか知ることができてしまうため、主観的な要素が入り込むようなアウトカム(心不全による入院など)には適していません。なぜなら、入院適用は担当医師の判断に委ねられるため、バイアスがかかりやすくなります。そのため、PROBE法では、主観が入りにくいアウトカム(死亡、心血管死など)を採用すべきです。
服薬指導
80歳男性 Aさん
現病:高血圧
既往歴:なし




LDL:160mg/dLとなっていますね。




ただ、心筋梗塞の既往歴があれば服用した方が良いと思います。また、頸のエコーにて動脈硬化の指摘を受けていたり、糖尿病の方は必要となることが多いです。
