お薬について

薬剤師のための『骨粗鬆症治療薬のまとめ②』 個人的見解を添えて!!


こんにちは。 マサです。

調剤薬局にて薬剤師として働いています。

今回は「骨粗鬆症治療薬のまとめ②」です。
ビスホスホネート薬と注射薬についてまとめました。

今回も『骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版』を参考に、骨粗鬆症治療薬についてまとめました。

ビスホスホネート薬について

第一世代: 側鎖に窒素を含む
エチドロネート


第二世代:側鎖に窒素を含むが環状構造がない
アレンドロネート、イバンドロネート


第三世代:側鎖に窒素を含み環状構造を有する
リセドロネート、ミノドロン酸

副作用について

・ビスホスホネート関連顎骨壊死(BRONJ:bisphoshonate-related osteonecrosis of the jaw)
ビスホスホネートのみでなく、他の骨吸収抑制薬使用時にも発生を認めることから、骨吸収抑制薬関連顎骨壊死(AEONJ:antiresorptive agent-induced osteonecrosis of the jaw)と総称される。
BROJNは窒素含有ビスホスホネートでの発生頻度が高く、抜歯などの侵襲的歯科治療後に発生することが多い。
飲酒・喫煙、糖尿病、ステロイド薬使用、肥満、抗がん療法、口腔内不衛生が危険因子となる。
BRONJに関するポジションペーパーによると、データベースに基づく推計で、経口ビスホスホネート服用者における発生頻度は0.85/10万人・年である。
また、日本口腔外科学会全国調査(248施設)では約0.01〜0.02%とされている。服用期間が3年未満で危険因子がない場合は、原則として休薬せずに侵襲的な歯科治療が可能。
服用期間が3年以上の場合や、3年未満でも危険因子がある場合には、休薬による骨折リスクの上昇、侵襲的歯科治療の必要性、休薬せずに侵襲的歯科治療を行った場合のBRONJ発症のリスクについて、医師と歯科医とが事前に話し合って方針を決める。
休薬期間は定まっていないが、3ヶ月が推奨されている。
・非定型大腿骨骨折
長期間にわたるビスホスホネート薬服用患者での大腿骨転子下および骨幹部骨折の発生が報告され、非定型大腿骨骨折(AFF:atypical femoral fracture)と呼ばれている。
AFFの発生率は32〜59/100万人・年。欧米白人と比べてアジア人での発生リスクが高いことも知られている。
長期服用例で鼠径部または大腿骨部の鈍痛またはうずく痛みといった前駆症状が出現した場合には、本骨折を念頭に精査を進める。また、骨折は両側性に起こることがある。さらに、本骨折では骨折治癒が遅延する恐れがある。
・急性期反応あるいはインフルエンザ様症状
ビスホスホネート薬服用開始後に筋・関節痛、発熱を生じることがあり、急性期反応あるいはインフルエンザ様症状と呼ばれる。
特に月1回服用の製剤での頻度が高く、初回投与時に生じやすく、症状は短期間に改善し、その後の発現は少ない。
長期間投与
長期間にわたる服用により顎骨壊死や非定型大腿骨骨折リスクが上昇することから、以下の提案がなされている。
治療開始後3〜5年で対象例の骨折リスクを評価
①高リスク(大腿骨近位部骨密度がTスコア≦-2.5の場合や椎体または大腿骨近位部の骨折がある場合)
→ビスホスホネート薬を継続
②中リスク(大腿骨近位部骨密度がTスコア>-2.5で椎体や大腿骨近位部骨折がない場合)
→休薬のリスクとベネフィットを症例毎に検討した上で休薬を考慮
③低リスク
→中止

エチドロネート(先発品:ダイドロネル)

特徴
・日本で最初に骨粗鬆症治療薬として保険承認されたビスホスホネート薬。
・第一世代のビスホスホネート薬。
・骨吸収抑制作用と、骨形成抑制症の発現濃度の差が2倍程度と狭く、骨粗鬆症治療に有用な骨吸収抑制作用発現の2倍程度の用量で骨軟化症を引き起こす可能性がある。
このため、周期的間歇投与方が採用されている。
評価
骨密度:上昇効果がある(A)
椎体骨折:上昇するとの報告がある(B)
非椎体骨折:抑制するとの報告はない(C)
大腿骨近位部骨折:抑制するとの報告はない(C)

個人的見解
日本で最初に保険承認されたビスホスホネート薬として価値がある薬です。
ただ、骨軟化症を引き起こすことや、その防止のために休薬期間を保ちながら使用するというデメリットがあります。
さまざまなビスホスホネート薬が発売された現在では、選択肢に含まれることはほぼないように思います。

アレンドロネート(先発品:フォサマック / ボナロン)

特徴
・連日5mg、週1回35mg、4週に1回900μg点滴静注、週1回の経口ゼリー製剤がある。
・副作用とそれによる投薬中止の頻度は、連日製剤よりも週1回製剤の方が少ない。
評価
骨密度:上昇効果がある(A)
椎体骨折:抑制する(A)
非椎体骨折:抑制する(A)
大腿骨近位部骨折:抑制する(A)

個人的見解
非椎体骨折や大腿骨近位部骨折がある方では、第一選択薬になると思います。
他のビスホスホネート薬の中ではリセドロネートも第一選択になると思います。
本剤は週1回のゼリー製剤があるので、嚥下力の落ちた高齢者にも使用しやすくなっています。

リセドロネート(先発品:アクトネル / ベネット)

特徴
・第三世代。
・連日、週1回、月1回の3剤型がある。
評価
骨密度:上昇効果がある(A)
椎体骨折:抑制する(A)
非椎体骨折:抑制する(A)
大腿骨近位部骨折:抑制する(A)

個人的見解
非椎体骨折や大腿骨近位部骨折がある方では、第一選択薬になると思います。
他のビスホスホネート薬の中ではアレンドロネートも第一選択になると思います。
月1回製剤を希望する場合は本剤を選択することになります。

ミノドロン酸(先発品:ボノテオ / リカルボン)

特徴
・国産のビスホスホネート薬。
・日本で用いられる最も強力な骨吸収抑制作用を有する。
・1mg連日服用と50mg月1回服用製剤がある。
評価
骨密度:上昇効果がある(A)
椎体骨折:抑制する(A)
非椎体骨折:抑制する(C)
大腿骨近位部骨折:抑制する(C)

個人的見解
・日本で発売されているビスホスホネート薬の中で最も強力な骨吸収抑制効果を示すため、椎体骨折リスクが高い患者さんには第一選択になると思います。
また、SERMのラロキシフェンとの比較試験があり、Tスコア-3以上の軽症例では、本剤において骨粗鬆症骨折および椎体骨折の有意な抑制が確認されています。
しかし、アレンドロネートやリセドロネートと違い、非椎体骨折や大腿骨近位部骨折を抑制するエビデンスがないため、椎体骨折だけでなく非椎体骨折や大腿骨近位部骨折のリスクが高い方には第一選択にはなりにくいと思います。

イバンドロネート(先発品:ボンビバ)

特徴
・急速静注できる唯一のビスホスホネート薬。
・月1回注射剤と月1回経口投与において、骨量増加の非劣勢が確認されている。(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC4605968/)
・臨床試験がほぼ注射剤で実施されたもの。
・MOVER試験において、静脈内投与製剤に共通な副作用である急性期反応については、1mgは7.1%であり、初回に多く、ほとんどの症状は軽度であった。(リセドロネート連日経口では急性期反応が3.0%)
評価
骨密度:上昇効果がある(A)
椎体骨折:抑制する(A)
非椎体骨折:抑制する(B)
大腿骨近位部骨折:抑制する(C)

個人的見解
リセドロネートよりも早期に腰椎骨密度を上昇させるため、なるべく早期に腰椎骨密度を上昇させたい場合には優先される薬と思います。また、月1回の注射製剤があることも特徴です。
しかし、アレンドロネートやリセドロネートと違い、非椎体骨折や大腿骨近位部骨折を抑制するエビデンスがないため、椎体骨折だけでなく非椎体骨折や大腿骨近位部骨折のリスクが高い方には第一選択にはなりにくいと思います。

テリパラチド(遺伝子組換え)(先発品:フォルテオ皮下注)

特徴
・合成方法により遺伝子組換えと化学合成によるものとがある。
・本剤は骨密度低下の強い骨粗鬆症やすでに骨折を生じている重篤な骨粗鬆症に用いられる。
・他の骨粗鬆症治療薬に比べて費用が約10倍割高であるが、得られる効果は大きい。
・副甲状腺亢進症などで血中PTHが持続的に上昇すると、骨のリモデリングが促進されて骨組織量は減少する。しかし本剤を皮下注射すると、リモデリングの促進とともに骨組織量は上昇する。
・本剤はラットへの長期投与で骨肉腫の発生が確認され、投与期間の合計が24ヶ月に制限されている。また、中断後の再投与であっても、投与期間の合計が24ヶ月を超えない様にしなければならない。
・本剤2年投与後にデノスマブを2年投与した場合は、股関節部や大腿骨頚部の骨密度は継続的に増加するのに対し、投与順序を反対にすると増加率が低下することが報告された。脊椎骨密度変化率に群間差は認められなかった。(2015年7月2日Lancetオンライン版)
評価
骨密度:上昇効果がある(A)
椎体骨折:抑制する(A)
非椎体骨折:抑制する(A)
大腿骨近位部骨折:抑制する(C)
本剤は第一選択薬ではない。ビスホスホネート、SERMなどの治療でも骨折を生じた例、高齢で複数の椎体骨折や大腿骨近位部骨折を生じた例、著しく骨密度が低下した例などでの使用が推奨される。

個人的見解
大腿骨近位部骨折以外の骨密度、椎体骨折、非椎体骨折に対する十分なエビデンスがあるため、骨折リスクの高い方や骨密度が著しく低い方には第一選択となり得る薬と思います。
しかし、薬価が高いことが大きな障害になります。薬価の問題から他の治療を選択する方もいると思います。
(フォルテオ皮下注の1ヶ月薬価:36,555円 / 2020年4月1日時点)
(テリボン皮下注の1ヶ月薬価 :43,992円 / 2020年4月1日時点
(プラリア皮下注の1ヶ月薬価 : 4,803円 / 2020年4月1日時点)

テリパラチド酢酸塩(先発品:テリボン皮下注)

特徴
・日本で開発された骨粗鬆症治療薬。
・週に1回、医師または医師の指導下で看護師が皮下投与するか、1日1回、週に2回皮下に自己注射する薬剤。
・費用は連日皮下注射と同様に、他の骨粗鬆症治療薬に比べてかなり割高であるが、得られる骨折抑制効果は大きい。
・骨粗鬆症治療薬の中で最も強い新規椎体骨折抑制効果を示している。
・半量28.2μgと本剤56.4μgの成績比較において、用量依存性が示唆される。
・ラットに対する骨肉腫の所見が認められたため、使用時間が72週までに制限されている。
・一時中断後の再投与する場合でも、合計投与期間が72週を超えないようにする必要がある。
・72週投与終了後1年間は新規椎体骨折抑制効果が持続することが報告されているが、骨密度の観点からは投与終了後の治療薬としてビスホスホネート製剤が望ましいとの報告がある。
評価
骨密度:上昇効果がある(A)
椎体骨折:抑制する(A)
非椎体骨折:抑制する(C)
大腿骨近位部骨折:抑制する(C)
本剤は第一選択薬ではない。ビスホスホネート、SERMなどの治療でも骨折を生じた例、高齢で複数の椎体骨折や大腿骨近位部骨折を生じた例、著しく骨密度が低下した例などでの使用が推奨される。

個人的見解
骨密度上昇効果、椎体骨折抑制効果を大いに期待できると思います。
ただ、週に1回医師または医師の指示のもとで看護師が注射しなければならない点が大きな障害になると思います。医師に注射してもらうような状況であれば、デノスマブの使用を選択する方が良いと思います。
さらに、薬価が高いことは大きな障害です。
(フォルテオ皮下注の1ヶ月薬価:36,555円 / 2020年4月1日時点)
(テリボン皮下注の1ヶ月薬価 :43,992円 / 2020年4月1日時点
(プラリア皮下注の1ヶ月薬価 : 4,803円 / 2020年4月1日時点)

デノスマブ(先発品:プラリア皮下注)

特徴
・重大な副作用のうち、低カルシウム血症と顎骨壊死には特に注意が必要である。低カルシウム血症は腎機能障害患者に生じやすいため、投与前に血清補正カルシウム値の測定とともに腎機能を確認する必要がある。
・低カルシウム血症の発現を防止するためには、カルシウムおよびビタミンDの経口補充のもとに定期的に血清補正カルシウム値をモニタリングした上で本剤を投与することが推奨されている。
そのための薬剤としてデノタスチュアブル配合錠(カルシウム/天然型ビタミンD3/マグネシウム配合剤)が発売されている。
腎機能障害患者や既に活性型ビタミンD3製剤を使用している患者においては、適宜活性型ビタミンD3を使用するとともに、必要に応じてカルシウム投与量を調整する。
・本剤は6ヶ月に1回投与であり、蓄積性はないため、骨代謝マーカーおよび骨密度に対する効果は可逆的である。休薬2年で骨代謝マーカーはベースラインに戻るが、骨密度はプラセボ群よりも高値を維持した。
評価
骨密度:上昇効果がある(A)
椎体骨折:抑制する(A)
非椎体骨折:抑制する(A)
大腿骨近位部骨折:抑制する(A)

個人的見解
内服治療ができない方や重度の骨粗鬆症の方は第一選択になると思います。
骨密度、椎体骨折、非椎体骨折、大腿骨近位部骨折のどれに対しても十分なエビデンスがあります。
懸念されることは薬価が高いことと低カルシウム血症です。
薬価は月1回内服製剤よりも月毎の費用は2倍です。低カルシウム血症は予防のためにデノタスチュアブル配合錠を服用する必要もあります。
ただ、フォルテオ皮下注やテリボン皮下注よりは安いこと、得られる効果を考えると十分に価値のある薬と思います。
(フォルテオ皮下注の1ヶ月薬価:36,555円 / 2020年4月1日時点)
(テリボン皮下注の1ヶ月薬価 :43,992円 / 2020年4月1日時点
(プラリア皮下注の1ヶ月薬価 : 4,803円 / 2020年4月1日時点)

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