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薬剤師のための高血圧治療薬『サイアザイド編』 個人的見解を踏まえて!!


こんにちは。 マサです。

調剤薬局にて薬剤師として働いています。

高血圧治療薬について、ガイドライン2019を確認して勉強しなおしています。

そこで今回は、サイアザイド系利尿薬についてまとめました。

個人的見解
・浮腫を伴う高血圧患者には優先順位が高い薬剤です。

・利尿作用と降圧作用を併せ持つ薬剤であり、費用対効果に優れた薬剤です。

・糖尿病薬のSGLT2阻害薬が広く使用されるようになっており、サイアザイド系利尿薬を見直しても良いように思います。

・カルシウム拮抗薬やARBよりも使用頻度が少ない理由としては、降圧効果が劣ること、尿酸や脂質代謝、糖尿、光線過敏などの副作用があること、低Na血症はループ利尿薬に比較して発生頻度が高く、より重症例が多いことだと思います。ただし、副作用の多くは用量依存性であるため、少量使用であれば大きな影響はないように思います。

特徴

・降圧効果の短期的な主要因は利尿作用であり、長期的な作用は末梢血管抵抗を低下させることです。

・降圧効果は用量依存的ではないので、トリクロルメチアジド(フルイトラン)0.5mgでも降圧効果が期待できます。

・長期での血圧効果作用は利尿作用ではなく、抹消血管抵抗性の改善が主作用です。

・第一選択薬としてACE阻害薬を使用した群と比較して、サイアザイド系を使用した群では急性心筋梗塞、心不全による入院、脳卒中が有意に低い試験結果があります。(文献

・eGFR≧30mL/分/1.73m2にてサイアザイド系は使用可能です。

・糖・脂質代謝に悪影響を及ぼすためにβ遮断薬との併用は勧められません。

・副作用には高尿酸血症、高中性脂肪血症、耐糖能低下、低Na血症、低K血症、低Mg血症、光線過敏症、血小板減少症などがあります。
低Na血症はループ利尿薬に比較して発生頻度が高く、より重症例が多いとされています。
低K血症の予防にはACE阻害薬、ARBとの併用、またはK製剤、ミネラルコルチコイド受容体拮抗薬との併用、K含量の多い柑橘類などの摂取が推奨されます。

ヒドロクロロチアジド

・SPRINT試験:非糖尿病患者における高血圧関連合併症の予防効果を検証するために、SBP120mmHg未満と140mmHg未満の群に分けて試験を実施。降圧薬としてサイアザイド系の使用を優先的に使用することを推奨されて行われた試験において、厳格にコントロールした群で心不全発症と心血管死を大幅に減少させた(糖尿病患者を除外)(ヒドロクロロチアジド)。

・SHEP試験:老年者収縮期高血圧に対する降圧治療が脳心血管合併症を予防するかを検討し、脳卒中、非致死的心筋梗塞および冠動脈死、心血管疾患発症、全死亡のいずれにおいても有意に少なかった(ヒドロクロロチアジド)。

・ALLHAT試験:冠動脈心疾患のリスク因子を有する高血圧患者において、アムロジピン、リシノプリルによる降圧療法が、ヒドロクロロチアジドによる治療よりも冠動脈心疾患あるいは心血管疾患を抑制するかを検討した試験。一次エンドポイントは致死的冠動脈心疾患または非致死的心筋梗塞。二次エンドポイントは全死亡、脳卒中、複合冠動脈心疾患各群において一時エンドポイントに差はなし。
アムロジピン群とヒドロクロロチアジド群との比較において、心不全の6年発症率はアムロジピン群において有意に高かった。
リシノプリル群とヒドロクロロチアジド群との比較において、複合心血管疾患、脳卒中、心不全の発症率がリシノプリル群で有意に高かった

・1959年に発売
・「ニュートライド」という名称にて発売を開始し、2013年12月に{ヒドロクロロチアジド錠25mg「トーワ」}に販売名を変更
・配合剤:エカード配合錠 / カデチオ配合錠(カンデサルタンとの合剤)
     ミコンビ配合錠 / テルチア配合錠(テルミサルタンとの合剤)
     ミカトリオ配合錠(テルミサルタン、アムロジピンとの合剤)
     コディオ配合錠 / バルヒディオ配合錠(バルサルタンとの合剤)
     プレミネント配合錠 / ロサルヒド配合錠(ロサルタンとの合剤)

トリクロルメチアジ

・1960年に発売
・カリウム排泄作用が少ないこと、1日1回で長時間効くことを特徴に発売を開始
・配合剤:イルトラ配合錠(イルベサルタンとの合剤)
 

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