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薬剤師として考える『SGLT-2阻害薬の慢性心不全への使用』について


こんにちは。 マサです。

2020年11月にフォシーガ錠が『慢性心不全』の保険適応を取得しました。
そして、ジャディアンス錠も『慢性心不全』の適応拡大の国内承認を申請しました。
近いうちにジャディアンス錠もフォシーガ錠同様に『慢性心不全』の保険適応を取得すると思います。
そこで今回は、SGLT-2阻害薬と慢性心不全について記事にしたいと思います。

SGLT-2阻害薬の『慢性心不全』における立ち位置

現在のところ、標準薬に追加する形で使用します。
ただし、心不全に対する作用機序が明確になれば標準薬になるかもしれません。

従来はRAS系阻害薬+β遮断薬+MRAの併用療法でした。しかし、ARNIが発売されたことで、ARNI+β遮断薬+MRAの併用療法にシフトしました。

慢性心不全の病態を考えると、左室リモデリングの進展を抑制することが大切です。そうなると、現在のところARNI+β遮断薬+MRAより優先して使用される薬ではありません。

糖の再吸収阻害作用による利尿作用が慢性心不全に対する機序ではないの?

使用開始直後はそうかもしれません。しかし、長期的に考えるとそうではないようです。

もし利尿作用が慢性心不全による心血管死や心不全による入院を減らせるのであれば、既に発売されているループ系利尿薬が標準薬になっていてもおかしくありません。

ループ系利尿薬が標準薬になっていない理由は、エビデンスがほとんどないためです。これは倫理的に試験を行えないことも背景にあるようです。
しかし、現在のところ、ループ系利尿薬はうっ血に対する対象薬の位置付けが共通認識に思います。

SGLT-2阻害薬はどんな慢性心不全患者さんに適しているか

最も効果が期待できるのはNYHAⅡの患者さんと言われています。

EF15%以上の患者さんであれば効果が期待できます。重症例では効果が期待できません。

NYHAⅡは、『軽度ないし中等度の身体活動の制限がある。安静時には無症状。日常的な身体活動で疲労、動悸、呼吸困難あるいは狭心痛を生じる』 状態です。
急性・慢性心不全診療ガイドライン2017年改訂 P.13)

どれくらいの効果が期待できるのか?

DAPA-HF試験において、フォシーガ10mgは主要複合評価項目である『心不全イベント発症(入院または心不全による緊急受診)までの期間、もしくは心血管死』の相対リスクを26%減少させました。

EMPEROR-Reduced試験において、ジャディアンス錠10mgは主要複合評価項目である『心血管死と心不全悪化による入院』の相対リスクを25%減少させました。

フォシーガ錠10mgとジャディアンス錠10mgはどちらが良い?

現在のところ、どちらの薬が優れているかは分かりません。

ジャディアンス錠のEMPEROR-Reduced試験が10mgで実施しています。
フォシーガ錠も10mgですがフォシーガ錠の最高用量です。
しかし、ジャディアンス錠の最高用量は25mgです。低用量にて使用できる方が体には優しい気がします。
ただし、ジャディアンス錠25mgが『慢性心不全』の適応を得られるかは分かりません。

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