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薬剤師が評価する『ベリキューボ』は5剤目に使用する薬 〜理由を解説〜


こんにちは。 マサです。

調剤薬局にて薬剤師として働いています。

今回は慢性心不全治療薬である『ベリキューボ』について記事にしました。

以前、慢性心不全治療薬の『エンレスト』について記事にしました。
ここ数年、慢性心不全に対する治療薬が増えています。
糖尿病治療薬のSGLT-2阻害薬もその一つになっています。

ベリキューボが慢性心不全の治療において、どのようなことをもたらしてくれるのか期待したいところです。

結論:現在では5剤目の立ち位置

 

ベリキューボの対象者

 
・標準治療薬とSGLT-2阻害薬を使用していても心不全の状態が良くない患者

・標準治療薬が十分に使用できない患者

・SGLT-2阻害薬が使用できない患者
 
※標準治療薬:ACE阻害薬 / ARB / ARNI、β遮断薬、ミネラルコルチコイド受容体阻害薬

ベリキューボが5剤目の理由

 
ベルイシグアトは、ACE-I(またはARNI)、ベータ遮断薬、およびMRAによる治療にもかかわらず心不全が悪化したNYHAクラス2〜4の患者で、心血管死または心不全入院のリスクを軽減するために考慮される場合がある。

推奨度:Class Ⅱb

急性および慢性心不全の診断と治療のための2021年ESCガイドライン(2021 European Heart Jornal)より
※エビデンスが不足しているため

ベリキューボの作用機序

心不全患者では、NO-sGC-cGMP系の活性化が低下している。
さらに、sGC活性の低下がGTPからcGMPの産生が低下する。
cGMPの酸性低下は血管緊張増大や心筋収縮力低下、心臓リモデリングの亢進につながるとされている。

ベルイシグアト
・NOとsGCとの結合を安定化させ、NOに対するsGCの感受性を高める作用があるとされている。
・NO非依存的に直接sGCを刺激する作用があるとされている。

心不全治療の目標

心不全による死亡や入院を減少させること

標準治療薬を使用した治療が一般的になっていますが、それでもその後の心不全による入院や死亡が大きく減っていることはありません。

死亡が減ったとしても入院になってしまうと、患者さんには大きなストレスがかかります。

治療において、心不全による死亡と入院を減少させることがとても重要になります。

VICTORIA試験

左室駆出率が低下した(収縮性心不全)慢性心不全患者に対する、ベリキューボの効果を確認した試験
VICTORIA試験の原著論文はこちら
背景
最近入院した患者または、静脈内利尿薬治療を受けた心不全及び駆出率の低下した患者に対する、新規の可溶性グアニル酸シクラーゼ刺激薬であるベルイシグアトの効果は明らかになっていない。

方法・患者
・第Ⅲ相、二重盲検ランダム化プラセボ比較試験
・慢性心不全患者(NYHAクラスⅡ、Ⅲ、Ⅳ)と駆出率<45%の5,050人を1:1で割り付け
平均駆出率:29%、NYHAクラスⅡ:59%、クラスⅢ:39.7%
・標準治療に追加しての治療(60%がβブロッカー、ACE/ARB、MRAの3種類を服用)
・主要エンドポイント:心血管死、心不全による最初の入院
・二次エンドポイント:心不全による入院、全死亡、心不全による最初の入院と全死亡
・洞調律の患者:BNP≧300pg/mLかNT-proBNP≧1000pg/mL、
心房細動の患者:BNP≧500pg/mLかNT-proBNP≧1600pg/mL
(NT-proBNP中央値:2826pg/mL)
・除外血圧:SBP未満100mmHg
・除外薬:長時間作用型硝酸塩、sGC刺激薬、PDE5阻害薬

結果
・試験期間:中央値10.8ヶ月

・主要エンドポイント発生率
ベルイシグアト群897/2526(35.5%)
プラセボ群972/2524(38.5%)、
HR:0.90(95%Cl 0.82-0.98)
1年間で24人の患者に投与すると、1人の主要エンドポイントを防止できる

・心不全による最初の入院
ベルイシグアト群691/2526(27.4%)
プラセボ群747/2524(29.6%)
HR:0.90(95%Cl 0.81-1.00)

・心不全による全ての入院
ベルイシグアト群1223/2526(38.3%)
プラセボ群1336/2524(42.4%)
HR:0.91(95%Cl 0.84-0.99 P=0.02)

・全死亡または心不全による最初の入院
ベルイシグアト群957/2526(37.9%)
プラセボ群1032/2524(40.9%)
HR:0.90(95%Cl 0.83-0.98 P=0.02)

・全死亡
ベルイシグアト群512/2526(20.3%)
プラセボ群534/2524(21.2%)
HR:0.95(95%Cl 0.84-1.07 P=0.38)

・心血管死
ベルイシグアト群414/2526(16.4%)
プラセボ群441(2524(17.5%)
HR:0.93(95%Cl 0.81-1.06)

・症候性低血圧
ベルイシグアト群9.1%(ベースラインのSBP121.2mmHg)
プラセボ群7.9% (ベスラインのSBP121.5mmHg)

・失神
ベルイシグアト群4.0%
プラセボ群3.5%

・eGFR15〜30の患者:15%未満

結論
慢性心不全で駆出率が低下し、入院または緊急治療が必要な症状が悪化した患者を対象としたこの試験では、心血管系の原因による死亡または心不全による入院の複合の発生率は、プラセボよりもベリシグアトの方が低かった。ベリシグアトを支持する違いは、治療の約3か月後に現れ、試験全体を通して持続した。

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