服薬指導

薬剤師の服薬指導『糖尿病患者さんの体重指導(境界型を含む)』


 

こんにちは。 マサです。

 

糖尿病患者さんの服薬指導において、体重の指導をしていますか?

 

指導をしていないあなたは、すぐに指導してください。

 

目次

・糖尿病患者さんの体重指導(境界型を含む)

・体重管理が必要な理由(エビデンスを用いて)

・食事に問題がある患者さんへの服薬指導

・活動量に問題がある患者さんへの服薬指導

 

糖尿病患者さんの体重指導(境界型を含む)

体重管理ができていない患者さんの多くが血糖コントロール不良です。

もし、現在コントロールができていても、加齢により難しくなります。

 

 

体重管理が必要な理由(エビデンスを用いて)

糖尿病治療において、みなさんは食事注意と運動注意は意識していると思います。私はそれと同じほど体重管理が必要と考えます。

事実、私が勤めている薬局の近くの糖尿病専門医では、受診毎に体重を量っています。そして、200gであっても増量していれば指導します。

 

でも、そこまでする必要があるのかな? と、疑問に思う方もいると思います。

ですが、体重をきっちり管理する必要があると思います。

体重が悪さをする理由を説明します。

 

アメリカで行われた糖尿病発症率を比較した『DPP(Diabetes Prevention Program)』という研究があります。

この研究は、生活指導介入群、メトホルミン群、プラセボ群(各1,300人程程)の3つに分けて、糖尿病発症率を比較しました。

試験期間は1996年~2001年です。

得られた結果は、生活指導介入群はプラセボ群と比較して糖尿病発症率を58%、メトホルミン群はプラセボ群と比較して糖尿病発症率を31%抑制しました。

 

糖尿病ガイドライン2016には

また、肥満2型糖尿病患者を対象にした試験では、強化ライフスタイル介入群で体重を8.6%減少させると、HbA1cは平均7.3%から6.3%に減少することが報告されています。

と記載されています。

 

体重管理がどれほど重要なことなのかわかったと思います。

そうはいっても、お薬で治療すれば問題ないのでは? と考える方もいると思います。

しかし、肥満によるインスリン抵抗生によって、血糖値を下げるためにインスリン分泌量が増加します。このまま肥満状態を放置すると、膵臓β細胞の萎縮に繋がります。膵臓β細胞が萎縮することで、

インスリン分泌量が減る→血糖値が高くなる→薬を追加する→しばらくすると血糖値が高くなる→薬を追加する

を繰り返し、最終的にインスリン注射になってしまう可能性があります。

インスリン注射を望む患者さんがどれほどいるでしょうか。

将来のインスリン注射治療を防止するためにも、体重管理が大切になります。

薬剤師として患者さんのことを大切に思うのであれば、すぐにでも体重指導を行ってください。

早ければ早いほど、患者さんの膵臓を守れます。少しでも、患者さんが使用する薬を減らし、インスリン注射の導入になるまでの時間を遅らせましょう。

 

それでは、体重管理に関する服薬指導をまとめました。

これは、普段から私が行っている指導内容です。

 

 

食事に問題がある患者さんへの服薬指導

・『食事を食べるスピードが早くなっていませんか?』

よく『30回噛んで食べてください』と聞くかもしれませんが、なかなか難しいですよね。なので、口の中が空になるまでは新しい食べ物を口に入れないことを意識してください。ゆっくり食べることで満腹となりやすくなり、結果的に食事量を減らせます。

 

・『糖質を意識して減らしているから、おかずは好きに食べていませんか?』

確かに血糖値は上がりにくいですが、脂質が増えたら体重が増えます。糖質を制限したら何を食べても良い、というのは間違いです。そして、糖質を食べないと満腹になりにくいです。満腹にならないと食べてしまいます。

男性ではご飯120g~150g、女性では100g~120gを目安にご飯を食べることをオススメします。多いと思うならば減らしてください。少ないと感じるようならば、慣れてください。

 

・『食事の順番を考えていますか?』

食事の順番を変えることで、食事量や体重を減らすことができるかもしれません。

具体的に説明します。和食のコース料理をイメージしてください。

前菜→吸い物→刺身→焼き物→煮物→ご飯·味噌汁·漬物→果物の順番で運ばれてきます。

毎日の食事もこれをイメージし、野菜(サラダ)→おかず→ご飯·パン·麺類の順番で食べてください。ご飯やパンなどの糖質を最後に持ってくると、糖の吸収が緩やかになります。また、お腹が満たされることで量を減らすことができるかもしれません。

 

・『食後にデザートを食べる習慣はありませんか?』

食後に甘いものが欲しくなることや口寂しくなるのは習慣です。食べない習慣を身につけましょう。

どうしても食べてしまうことをやめられないのであれば、ガムを食べる、飴玉を1個だけ食べるなどで対応してください。

 

・『何かを我慢すると何かを食べてしまうことはないですか?』

せっかく引き算をして我慢したのに、そこに足し算として何かを食べてしまっては体重が減りません。足し算をするのであれば、引いたものよりも少ない量の足し算を意識してください。

 

・『食べ物を購入する時には、カロリーを見る習慣はありますか?』

カロリーを確認する習慣にしてください。

特に間食するものを購入する時に確認してください。どれほど多くのカロリーがあるかわかります。食事を少し注意しただけでは足りません。

 

・『カロリー0だからといって、甘いジュースやスポーツ飲料、炭酸飲料を飲む習慣はありませんか?』

カロリー0だからと安心して口にしていると、甘いものを口にする習慣がついてしまいます。

 

・『食事量を減らしすぎていませんか?』

食事量を減らしすぎるとお腹が空いてしまい、間食につながることや、次の食事が過食になってしまうことがあります。

食事を減らした分よりも、間食で口にするカロリーの方が多いです。

 

・『食事量を減らすために、1日3食を1日2食に減らしていませんか?』

3食を2食に減らすことで、1食で吸収されるカロリー量が増え、肥満を促します。実際、1日3食の方よりも2食の患者さんの方が、血糖コントロールが悪く体重も多いように思います。

 

・『1日3食の食事量で最も多いのが夕食になっていませんか?』

3食均等に食べるか、多くするならばお昼をオススメします。夜は寝るだけのことが多いので、軽食をオススメします。

 

・『食事時間は決まっていますか?』

食事の時間を決めることで食事量が安定します。一人暮らしの方は特に注意が必要です。

交代勤務の方は、交代勤務の中で一定としてください。例えば、日勤の場合は朝食6時、昼食12時、夕食18時、夜勤の場合は朝食18時、昼食0時、夕食6時などです。

 

 

活動量が少ない患者さんへの服薬指導

・電車通勤の方は、エレベーターやエスカレーターではなく階段を使用してください。夏場で汗が気になるようならば、帰りだけでも良いので階段にすることをオススメします。

 

・職場内でもエレベーターやエスカレーターを控え、階段を歩くようにしましょう。

 

・車通勤の方は、離れた駐車場に止め、駐車場から職場までを大股で早歩きすることをオススメします。

 

・外で食事をした場合は、少し歩いてからタクシーを呼んでください。

 

・職場で動く方は、大股で歩くことを意識してください。

 

・立ち仕事の方は、真ん中に重心を置くようにしてください。両足に均等に体重が乗るように意識すれば良いです。また、おへその下に軽く力を入れて背筋を伸ばしてください。

 

・座り仕事の方は、おへその下に軽く力を入れて背筋を伸ばして座ることをオススメします。腹筋と背筋を鍛えられます。また、背筋を伸ばして足を上げることもオススメします。

 

・家事をする主婦(主夫)の方は、家事をする前にスクワットとかかと上げを各10回行うことをオススメします。毎食の準備前、洗濯する前·干す時·よせる時、お風呂掃除前などです。

 

・湯温38度程度のお風呂に20分以上入ることをオススメします。ただし、水分補給と低血糖には十分注意してください。寝てしまうと寝ながら低血糖を起こすことがありますので注意が必要です。

 

・お風呂から出た後にストレッチすることをオススメします。最も体が柔らかい時です。筋肉の刺激になるとともに筋肉の可動域が広がり、怪我の防止や疲労防止、疲労回復に繋がります。

 

・決まった時間に運動する時間を確保できないようであれば、ラジオ体操を録画しておいて、時間のある時に行ってください。YouTubeでも検索できます。

 

・お昼休みが1時間あれば、最初の30分で職場内や周りをウォーキングし、残り30分で食事をしてください。低血糖の恐れがあれば控えてください。

 

・ストレスが溜まっている方こそ運動を行いましょう。心を落ち着かせるホルモンが増えてストレス解消になります。

 

・座り仕事の多い方は、運動を行うことで体の疲労感が生まれ、より良い睡眠につながります。

 

 

この他にも色々と指導内容があると思います。なので、活用できそうであれば活用してください。

1つでも患者さんの気づきにつながり、生活に活かしてくれそうな指導内容があると嬉しいです。

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