服薬指導

薬剤師の服薬指導『自宅で体重を量らない患者さん』


 

こんにちは。 マサです。

 

私は調剤薬局にて毎日服薬指導をしています。

毎日患者さんに「体重はいくつですか?」、「自宅で体重を量っていますか?」と確認します。

私が確認すると『自宅で体重を量っていない患者さん』と出会うことがよくあります。

そんな時、あなたなら何と服薬指導をしますか?

今回は、自宅で体重を量らない患者さんに対して、どのように服薬指導をしているかまとめてみます。

 

目次

・自宅で体重を量らない患者さん

・体重測定が『面倒くさい』患者さんへの服薬指導

・体重測定が『怖い』患者さんへの服薬指導

・体重計にのるのが『ストレス』な患者さんへの服薬指導

・自宅に『体重計がない』患者さんへの服薬指導

・体重測定の『必要性がわからない』患者さんへの服薬指導

・最後に

 

自宅で体重を量らない患者さん

患者さんが自宅で体重を量らない理由はなんでしょうか?

・量ることが面倒くさい

・記録するのが面倒くさい

・量る習慣がない

・体重を量るのが怖い

・体重計にのるのがストレス

・自宅に体重計がない

・体重測定の必要性がわからない

などがあります。その他にもあるかもしれません。

それぞれについて、どのように服薬指導をするか考えてみましょう。

 

『体重測定が面倒くさい』、『量る習慣がないので面倒くさい』患者さん

・(運動していない方が運動する時間を作るのを嫌がるように、体重を量る時間を作るのが嫌に考えてしまうかもしれません。なので、)体重計をトイレの横に置き、朝起きてトイレに行って、トイレから出たら体重計に乗る。もしくは、トイレの中に体重計を置いてしまい、トイレを済ませたらそのまま量る習慣をつけてはどうでしょうか。体重計に乗っている時間は5秒程度です。

・トイレの横やトイレの中に体重計を置くことがむずかしいようであれば、食卓の下に置いて、食べる前に量るようにしてください。

・記録をするのが面倒くさいようであれば、記録しなくて良いです。頭の中で覚えてください。そして、昨日よりも多かった、少なかったと考えるだけでかまいません。

・記録することを勧められているのであれば、最近は、スマホと体重計をBluetoothでつなげることで、自動的にスマホに体重が記録されるシステムがあります。そちらの体重計を購入してはどうでしょうか。

・毎日体重を量ることに抵抗があるならば、月·水·金曜日、土日だけなどと、少ない頻度でも良いので、まずは自宅で量ることを開始しましょう。

・皆さんの朝の行動は習慣になっていると思います。ですが、それは最初から習慣になっていたわけではありません。何かのタイミングで習慣化したのだと思います。習慣はこれからでも作れます。今日からでも明日からでも開始しましょう。2ヶ月もすれば習慣になっています。

・体重測定が習慣になるまで、記録も体重を確認するのもしなくて良いです。まずは体重計に乗る習慣をつけてください。

・電源を入れるスイッチやボタンのないものをオススメします。乗ったらすぐに体重測定できるものもあります。少しでもラクをしてください。

 

『体重を量るのが怖い』患者さん

・まずは体重を確認しなくて良いです。体重が表示される場所をタオルなどで隠してください。体重計に乗ることを習慣にしてください。

・量らないので怖いだけです。量ることになれてしまえば怖さが消えます。

・体重が減らないと怖くなるかもしれません。体重が減っていなくても、体重計に乗ることで体重を意識するようになります。意識することで多くの方の体重が減っています。2ヶ月後に期待して量ってみてはどうでしょう。

・体重が減っている自信のある時にのるようにしてください。自信の積み重ねによって、体重を量る恐怖が消えるかもしれません。

・本気で体重を減らすための第一歩が体重測定です。第一歩を踏み出しましょう。

 

 

『体重計にのるのがストレス』な患者さん

・体重が減るとストレスから喜びに変わります。量ることをオススメします。

・体重が最も少ないのが朝起きた時です。トイレに行った後に体重を量りましょう。

・オシャレなデザインの体重計にしてはどうでしょうか。少しでもストレスが和らぐかもしれません。

・体重が表示される場所をタオルなどで隠してください。体重計に乗ることに慣れたら、体重を確認すれば良いです。

・趣味や楽しみの後に体重計に乗るようにしましょう。体重計に乗ることがストレスではなくなるかもしれません。

 

 

『自宅に体重計がない』患者さん

・安ければ1000円程度からあります。自宅に1台はあると便利です。

・測定された体重を自動的にスマホに送ってくれる体重計もあります。記録をつけるには便利です。

・値段が高くなりますが、体脂肪まで測定してくれる体重計もあります。運動効果やご自身の体を知るためにも使用できます。

・オシャレなデザインの体重計もあります。体重計に乗ることで気持ちが高まるかもしれません。体重を量る行為を楽しみましょう。

・電源を入れるスイッチやボタンのない体重計もあります。乗ったらすぐに体重測定できますので、面倒くさがり屋の方は、そちらを選んでください。

 

 

体重測定の必要性がわからない患者さん

50歳以上の方

・体重、特に脂肪が増えると血圧、脂質、血糖値などの数値を悪化させます。また、体重が多くなることで膝や腰にかかる負担が大きくなります。膝や腰の痛みによって活動量が落ちると、認知症になるリスクを高めてしまいます。今後やりたいことや行きたい場所にいくことに苦労するようになるかもしれません。体に不自由を感じずに楽しく·不自由なく生活するために体重測定をオススメします。

 

若い方

・体重、特に脂肪が増えると血圧、脂質、血糖値などの数値を悪化させ、将来の新しい病気の発症、合併症のリスクを高めます。お子さんがいらっしゃれば、患者さんと同じ食生活を学び、今の患者さんと同じ未来が待っているかもしれません。体重管理をすることで、ちょっとでも未来を明るくできるかもしれません。ご家族も変わるかもしれません。なので、体重管理をオススメします。

 

 

最後に

患者さんは、『体重が増えた→自宅での体重測定が嫌→今の体重がわからない→体重への意識が弱まる→体重が増える』の繰り返しになります。

その結果『体重が増える→薬が増える→体重が増える→新しい病気になる→薬が増える』の負のサイクルに入ってしまうかもしれません。できるだけ毎日の体重測定をオススメします。

 

体重管理の指導をしていくと、必ず患者さんから「今回は体重が減って医師に褒められた」という、嬉しい言葉を聞きます。

その時には思いっきり褒めます。誰しも褒められると嬉しくなります。もっと努力してくれるかもしれません。そうしたことで患者さんとの信頼関係も築けます。

反対に、「努力したけれど体重が増えてしまった」という患者さんもいます。

その時には、「良かれと思ってやったことが裏目に出ることはよくあります。ただそれは、うまくいかないということがわかって良かったと考えてください。失敗ではなくて勉強しただけです。今回、何をどうすれば体重が増えるかわかったと思いますので今後に活かしましょう。」と伝えてください。

私がその言葉をかけて、患者さんが不快な表情をしたことは一度もありません。

 

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