こんにちは。 マサです。
調剤薬局にて薬剤師として働いています。
今回は、レボチロキシンNaを服用するのは、『食後』と『空腹時』のどちらが良いか? をテーマに記事を書きました。
私の薬局では別の甲状腺専門医から転医してきた患者さんから、用法について質問されることがあります。

起床時に変更したほうがいいの?
あなたは何と返答しますか?
服薬指導

その研究から、「空腹時に服用した方が効きが良かった」という結果が出ました。
できるならば起床時に服用することをオススメします。ただ、大切なことは忘れずにキチキチ服用することです。
起床時に服用しにくいようならば、飲みなれた「朝食後」でも良いかどうかを主治医と相談することをオススメします。
海外の添付文書
海外の添付文書を見ると、「朝空腹時少なくとも朝食の30~60分前もしくは夜最後の食事の3~4時間後服用」と記載されていることがあるそうです。
『アメリカの添付文書』
翻訳:レボチロキシンナトリウムカプセルを、朝食の30分から1時間前に、空腹時に1日1回経口投与します。
レボチロキシンNa錠の試験
朝食後20分以内、一晩絶食後の朝食の1時間以上前、夕食後2時間以上経過した就寝前を比較した試験
レボチロキシン75μg以上を服用している18歳〜75歳の男女65例(女性77%)を対象に、各8週毎【朝食後20分以内(WB)、一晩絶食後の朝食前1時間(BB)、夕食後2時間以上経過した寝る前 (HS)】に服用した時の各数値を測定した。
朝食後・朝食前・就寝前のデータ
結果:朝食の1時間以上前に服用した方が、TSH濃度が低く、FT4・FT3濃度が高い
朝服用と就寝前服用を比較した試験
①朝にレボチロキシンを、夜にプラセボを12週服用して、その後朝プラセボ、就寝前にレボチロキシンを12週服用した時のTSHやFT4、FT3値を測定。
②朝にプラセボを、夜にレボチロキシンを12週服用して、その後朝にレボチロキシン、就寝前にプラセボを12週服用した時のTSHやFT4、FT3を測定。
(朝の服用は食前なのか食後なのかの規定なし)
朝服用と就寝前服用の試験データ
結果:①と②の結果より、就寝前服用の方がレボチロキシンの効果が得られた。
ビタミンCとレボチロキシンNa錠
ビタミンC500mgを併用した時と服用しなかった時では、前者の方がレボチロキシンの吸収が良い。
ビタミンC服用時は、服用していない時と比較してFT4濃度が1.18倍高く、TSH濃度が38%低い。
甲状腺ホルモン量が多いことで心配なこと
高齢患者におけるレボチロキシン用量と骨折リスクとの関連
甲状腺ホルモンが過剰状態であると骨の代謝が高まるため、骨折リスクが高まります。
経験から
レボチロキシンNa錠を『起床時』に服用するのと『朝食後』に服用するのとで、レボチロキシンNa錠の量を調節する例を見ることはほぼありません。
そのため、甲状腺ホルモンの治療域が狭い患者さんでなければ、『起床時』でも『朝食後』でも大きな違いはないように思います。
ただ、食事の影響を受けることは事実ですし、併用薬がある方ではその影響を受けることもあります。
可能であれば『起床時』に服用するほうが無難であると考えます。
空腹時であるならば、起床時と就寝前のどちらが良いか?という疑問も生じます。
もし最後の食事から服用までの間隔が同じであれば、就寝前をオススメします。
理由は、夜間は胃酸分泌が増えて吸収がよくなるため、日中ほど腸が活動しないので薬が腸に滞在する時間が長くなり吸収されやすいためです。
もし絶食時間に数時間の差があるならば、絶食時間が長い方をオススメします。